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本記事は、ファッションビジネスメディア「Oui Speak Fashion® Japan」に寄稿したレポートをベースに、当社代表取締役社長の柏木 又浩、および執行役員の西村 幹太をはじめとした海外視察チームの視点を加え、ビーツ独自の考察としてお届けするものです。
今回は、GoogleがNRF 2026で示した小売向けAI基盤や、AIエージェントによる購買体験の変化をもとに、商品の発見から購入、配送までがどのように変わろうとしているのかを整理します。
GoogleはNRF 2026において、小売業界に向けたAI活用の新たな基盤を打ち出しました。
その中心にあるのが、AIエージェントによる電子商取引のために設計された共通規格「Universal Commerce Protocol(ユニバーサル・コマース・プロトコル/UCP)」と、小売向けAI基盤「Gemini Enterprise for Customer Experience」です。
さらに、「Alphabet(アルファベット)」傘下のドローン配送企業「Wing(ウィング)」と「Walmart(ウォルマート)」の提携拡大も発表されました。
これらの取り組みが示しているのは、AIが単に商品検索を便利にするだけではなく、商品の発見、比較、購入、配送までを一気通貫で支える存在になりつつあるということです。
小売業者によるGoogleのAI利用も急速に拡大しています。GoogleのAPIを通じたデータ処理量は、2024年12月の8.3兆件から1年後には90兆件超へと、前年比11倍以上に増加したとされています。
Googleが小売変革の軸に据えているのは、「発見」と「意思決定」の2つの領域です。
発見の基盤となるのが、Googleの商品情報データベース「Shopping Graph(ショッピング・グラフ)」です。Shopping Graphには、在庫、価格、レビューを含む500億件以上の商品情報が収容され、毎時20億件以上がリアルタイムで更新されています。
この膨大な商品情報を背景に、Google検索に搭載されたAIモードは、従来のキーワード入力型の検索から、より自然な会話に近いショッピング体験へと変化しています。
利用者は、商品名やカテゴリーを短いキーワードで入力するだけでなく、自分の好みや条件を言葉で伝えながら、商品と出会えるようになっていきます。
またGoogle検索だけでなく、対話型AI「Gemini(ジェミニ)」や、画像検索サービス「Google Lens(グーグル・レンズ)」、「YouTube(ユーチューブ)」といった接点も、商品の発見を支える入口として広がっています。
発見の次に来る「意思決定」の領域で、Googleが提示したのがUCPです。
UCPは、AIエージェントが商品の比較、提案、購入手続きを行う次世代の電子商取引に向けて設計された共通規格です。
UCPが目指すのは、Google検索のAIモードやGeminiの画面上で、会話の流れのまま購買まで進める体験です。
さらに、「Gemini Enterprise for Customer Experience」によって、検索、購買、顧客対応の接点をひとつの顧客体験として統合する構想も示されています。
商品を探す、比較する、購入する、問い合わせる。
これまで別々に存在していた体験が、AIエージェントを介して連続したものになろうとしています。
Googleが描く購買体験の変化は、発見や購入だけにとどまりません。
Alphabet傘下のWingとWalmartの提携拡大により、ドローン配送の対象拠点は新たに150拠点追加され、合計270拠点体制となりました。ロサンゼルスからマイアミまで全米を横断する配送網が実現し、4,000万人が配送サービスの対象になるとされています。
つまり、AIによって商品の発見や購入が変わるだけでなく、その先にある「届ける」体験まで含めて、小売の構造が変わり始めています。
購買体験は、商品を見つけて買う瞬間だけではなく、受け取るまでの一連の流れとして再設計されようとしています。
Googleの取り組みが示唆しているのは、AIによる商品の発見・比較から、購入、配送に至るまで、生活者の購買プロセスがテクノロジーによってよりシームレスになっていく未来です。
リアルな店舗やポップアップ、イベントは、すでに単なる購買の場ではなく、ブランドの世界観に触れたり、商品を体験したりすることで、オンラインだけでは伝わりにくい魅力を届ける接点になっています。
そのうえで、オンライン上の購買体験がさらに便利になっていく時代には、リアルな場における体験の「質」や「意味」が、より問われていくと考えられます。
これからは、その体験がブランド理解や購買前後の接点とどうつながるのか、生活者にどのような納得感や記憶を残せるのかを考えていく視点が、より重要になりそうです。
AIやEC上では、商品情報や購買導線がよりわかりやすく、スムーズになっていく。
その一方で、実店舗やポップアップ、イベントでは、オンラインでは伝えきれない質感、空気感、人とのやり取り、ブランドの思想を体感できる場として、役割をより深めていく必要があります。
デジタル上の利便性と、リアル空間での体験価値。
この2つを分断せず、互いに補完し合う顧客接点として設計していくことが、AI時代におけるブランド体験の鍵になるのではないでしょうか。
Googleが描くAIエージェント時代の購買体験は、商品の発見から購入、配送までがより連続したものになる未来を示しています。
その変化の中でブランドに求められるのは、単に新しいテクノロジーに対応することだけではありません。
商品やサービスの魅力を、顧客が出会うあらゆる接点でわかりやすく伝えること。
リアルな体験とデジタル上の情報を分断せず、一貫したブランド体験として設計すること。
株式会社ビーツは、リアルとデジタルを組み合わせながら、ブランドと生活者の接点づくりを支援していきます。
店舗やポップアップ、イベントを通じてブランド体験を高めたい、サイネージやWeb、SNSと連動した顧客接点を設計したい、リアルとデジタルを横断した購買体験を見直したいなど、次世代の店舗づくりにおける課題がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
「NRF 2026」のダイジェストレポートを公開しています。全29ページにわたる主要セッションの詳解と注目企業12社のソリューション分析を、ぜひダウンロードしてお役立てください。
本連載のベースとなっているオリジナルレポートは、株式会社ビーツとワールド・モード・ホールディングス株式会社による共同編集企画です。
当社代表取締役社長の柏木 又浩、および執行役員・西村 幹太がニューヨーク現地で取材した詳細なレポートは、ファッションビジネスメディア「Oui Speak Fashion® Japan」にて順次公開されています。本考察と合わせて、両社の視点が詰まった本編レポートもぜひご覧ください。
オリジナル記事
第11回:Googleが再設計する小売の全体構造、AIエージェントが“発見から配送”までを統合
本共同編集企画について詳しくは以下のページをご覧ください。
Oui Speak Fashion® Japan https://ouispeakfashion.com/jp/
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