Contactお問い合わせ
プランニングのご依頼やビーツの詳細を知りたい方は
お気軽にご連絡ください。
目次
本記事は、ファッションビジネスメディア「Oui Speak Fashion® Japan」に寄稿したレポートをベースに、当社代表取締役社長の柏木 又浩、および執行役員の西村 幹太をはじめとした海外視察チームの視点を加え、ビーツ独自の考察としてお届けするものです。
前回の記事(#02:Z世代は「実店舗」を捨てない。デジタルネイティブがリアルに求める「最終検証」の価値)では、大学生たちの本音から「実店舗は答え合わせの場である」というインサイトを紐解きました。
今回はカリフォルニア発の若者向けファッションセレクトショップ「Pacsun(パクサン)」の事例をもとに、次世代消費者との関係性をどのように築いていくべきか、リアルな売場づくりの視点から考察します。
Pacsunがグローバルデータ社と共同で実施した大規模調査「Pacsun Youth Report」(6,000人対象)では、Z世代とα世代をひと括りにすべきではない「違い」と、両世代に共通する興味深いインサイトが明らかになりました。
まず、彼らへのアプローチを考える上では、それぞれの世代が持つ独自の特徴を理解する必要があります。
| ターゲット | 注目したいインサイト | 特徴・背景 |
| Z世代 | 意思決定の主体は 「自分自身」 | 32%が購買の意思決定において「自分自身」が最大の影響源だと回答。自己の価値観を確立し、それに従って行動する傾向が見られる。 |
| α世代 | デジタルではなく「AIネイティブ」 | 絶え間ない変化の中で育ち、思考が柔軟。従来のブランドへの忠誠心が低く、外部からの影響を受けやすい傾向がある。 |
一方で、両世代には共通点も存在します。
| 注目したいインサイト | 特徴・背景 |
| オンライン消費と価値志向 | 若者の57%が衣料品予算の40%以上をオンラインで消費し、56%が常に最良の取引を探している。デジタルが主戦場であり、経済的合理性も重視されている。 |
| フィジカルへの回帰 | オンライン消費が日常化する一方で、過去2年間で両世代は体験を求めてショッピングモールに回帰している。ブランドにはオンラインとオフラインがシームレスにつながる存在感を期待している。 |
| メンタルヘルスの重視 | 若者にとって、メンタルヘルスは身体的健康や学業成績よりも優先度の高いテーマとして捉えられている。Pacsunはこれを単なる不安の表れではなく、「自己認識の高まり」と前向きに捉え、ブランドとして寄り添う姿勢を示している。 |
ここで注目したいのは、オンライン消費が日常化しているにもかかわらず、若い世代がフィジカルな場にも価値を見出している点です。
OSFの記事では、このフィジカルへの回帰について、過度にデジタル化された世界の中で、リアルなコミュニティやつながりを求める動きとも結びついている可能性が示されています。
リアルな場は、単に商品を見る・買うための場所ではなくなりつつあります。ブランドの姿勢やカルチャーを感じ、オンラインでは得にくい関係性や体験に触れる場として、改めてその価値が見直されているのではないでしょうか。
こうしたインサイトに対し、Pacsunが示した一つの回答が「Community Hub(コミュニティ・ハブ)」です。記事では、Community Hubは単なるアプリではなく、クリエイターをブランドのパートナーとして迎え入れる共創プラットフォームとして紹介されています。
Pacsunが重視しているのは、クリエイターを単なる発信チャネルとして扱うのではなく、共に価値を生み出す存在として捉える姿勢です。フォロワー数の多寡にかかわらず、さまざまなクリエイターを歓迎し、参加者にはアフィリエイト報酬やコンテンツの所有権、Pacsunチームと連携する機会、将来的な共同商品開発の可能性などが提供されるといいます。
さらに記事では、13歳から24歳の若者が経営陣の意思決定に直接意見を届ける「Youth Advisory Council」も紹介されています。これはCommunity Hubとは別の取り組みですが、若者を単なる消費者としてではなく、ブランドの未来に関わる存在として捉える姿勢は共通しています。
「企業がモノを売る」という一方的な関係から、ブランドと顧客、クリエイターが共に価値を育てていく関係へ。
Pacsunの取り組みは、次世代消費者との向き合い方そのものを見直す事例として捉えることができます。
Pacsunが示している「共創」の姿勢や、クリエイター・若者との関係性の再定義は、リアルな売場における体験設計を考える上でも示唆があります。「Community Hub」は、店舗空間そのものの事例ではありませんが、若い世代を単なる「買い手」としてではなく、ブランドと関わり、価値を共に育てる存在として捉える視点は、日本の店舗空間や売場づくりにも応用できる考え方です。
私たちは、この考え方を売場づくりに落とし込む上で、次のような視点が重要になると考えます。
自分の価値観で決めたいZ世代や、デジタルが日常にあるα世代。そんな彼らを迎える売場では、過度に買わせようとする訴求よりも、自分のペースで商品やブランドと向き合える設計が重要になります。
必要な情報に自然に触れ、比較し、納得して選べること。
テクノロジーもまた、前面に出すためのものではなく、体験を支える裏側として自然に機能していることが大切です。
来店者が、自分の意思でブランドとの接点を深めていける。そんな余白のある売場設計が、これからの店舗体験に求められていくのではないでしょうか。
Pacsunの事例で注目したいのは、若者やクリエイターを、ブランドの価値を一緒につくる存在として迎えている点です。この視点は、リアルな売場づくりにおいても参考になります。
例えば、来店者が写真を撮って発信したくなる仕掛け、イベントやワークショップを通じてブランドの世界観に参加できる設計、スタッフやクリエイターとの接点が生まれる場づくり。店舗は、商品を並べる場所であると同時に、ブランドとの関係性が生まれる場所でもあります。
一方的に完成された世界観を見せるだけではなく、来店者がその一部に加わることができる余白をどうつくるか。その視点が、若い世代とのエンゲージメントを高める上で大切になっていくと考えられます。
若者を単なる「買い手」としてではなく、ブランドの未来を共に創るパートナーとして迎える。
この考え方を売場づくりに広げて考えるなら、お店は最初から100%完成された場である必要はないのかもしれません。
用途を固定せず、集まる人たちの熱量やカルチャーに合わせてイベントやコミュニティの場へと形を変えていける柔軟性。来店者の声や行動によって、ブランド体験そのものが少しずつ育っていく設計。
そうした「共に育てる」視点は、これからの店舗における大切な要素の一つになると考えられます。
海外の事例をそのまま日本に持ち込むだけでは、なかなかお客様の心には届きません。日本の若者の感性や、国内の店舗環境に合わせ、いかに「心地よい共感」を空間に織り込んでいけるかが大切になります。
ビーツは、今回の視察で得た最新のリテールトレンドを日本市場に合わせて形にし、新たなブランド体験の場づくりを支援していきます。
ブランドと顧客の関係性を育てる店舗をつくりたい、若い世代に届く空間体験を設計したい、リアルな場を活かしたコミュニティづくりに取り組みたいなど、次世代の店舗づくりにおける課題がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
「NRF 2026」のダイジェストレポートを公開しています。全29ページにわたる主要セッションの詳解と注目企業12社のソリューション分析を、ぜひダウンロードしてお役立てください。
本連載のベースとなっているオリジナルレポートは、株式会社ビーツとワールド・モード・ホールディングス株式会社による共同編集企画です。
当社代表取締役社長の柏木 又浩、および執行役員・西村 幹太がニューヨーク現地で取材した詳細なレポートは、ファッションビジネスメディア「Oui Speak Fashion® Japan」にて順次公開されています。本考察と合わせて、両社の視点が詰まった本編レポートもぜひご覧ください。
オリジナル記事
第3回:Z世代・α世代攻略の未来 — Pacsunの戦略から読み解くリテール新時代
本共同編集企画について詳しくは以下のページをご覧ください。
Oui Speak Fashion® Japan https://ouispeakfashion.com/jp/
プランニングのご依頼やビーツの詳細を知りたい方は
お気軽にご連絡ください。