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本記事は、ファッションビジネスメディア「Oui Speak Fashion® Japan」に寄稿したレポートをベースに、当社代表取締役社長の柏木 又浩、および執行役員の西村 幹太をはじめとした海外視察チームの視点を加え、ビーツ独自の考察としてお届けするものです。
前回の記事(#03 若者を「買い手」ではなく「共創者」として迎える。Pacsunの事例から考えるこれからの売場づくり)では、Pacsunの事例をもとに、次世代消費者との関係性をどのように築いていくべきかを考察しました。
今回は、AI検索プラットフォーム「Daydream(デイドリーム)」、H&Mグループ傘下のブランド「COS(コス)」、アパレルブランド「Zadig & Voltaire(ザディグ エ ヴォルテール)」のCEOらが登壇したセッション内容をもとに、ファッションECにおける「発見」の課題と、AI活用の可能性について考えていきます。
ファッションにおける「探す」という行為は、一般的な商品検索とは少し異なります。
家電や日用品のように、型番やスペックを入力すれば目的の商品にたどり着けるものばかりではありません。ファッションでは、その日の気分、参加するイベント、なりたい印象、体型や着心地への不安など、言葉にしにくい要素が複雑に絡み合います。
例えば、「娘の卒業式に着る、袖付きで花柄、でもウエストが締め付けられすぎないドレス」のような要望は、従来のキーワード検索ではうまく拾いきれないことがあります。
AIに期待されているのは、こうした曖昧で文脈を含んだニーズを理解し、顧客に合った選択肢へ導くことです。
一方で、AIを導入すればすぐに検索体験が大きく変わるわけではありません。
セッションでは、ChatGPTの登場によって消費者が自然に高度なプロンプトを入力するようになると期待されていたものの、実際には多くのユーザーが検索窓の前で何をどう入力すればよいか分からず苦戦しているという課題が語られました。
そのため、Daydreamでは単にチャット機能を搭載するだけでなく、ユーザーがインスピレーションを得たり、検索のヒントを得たりできる機能の開発へと方針を転換したといいます。
ここから見えてくるのは、AIの性能だけでなく、ユーザーがその力を自然に使えるように導く設計の重要性です。
ブランド側にとっても、AI活用には現実的な準備が必要です。
AIが商品を正しく理解し、適切に提案するためには、カタログデータの構造化、フィード連携、プレスやクリエイターコンテンツの整備など、地道な取り組みが欠かせません。
Zadig & Voltaireの事例では、将来のAI活用を見据えて、AIに適したコンテンツ構造でウェブサイトをリニューアルしていることが紹介されています。
高性能なAIという「エンジン」を導入しても、その性能を引き出すためのデータやコンテンツが整っていなければ、顧客体験にはつながりません。
AIが顧客に商品を提案できるようになっても、それだけで購買が完結するわけではありません。
特にファッションのように、価格や機能だけでなく、ブランドへの共感や信頼、着用シーンへの納得感が意思決定に関わる商材では、事前のブランド認知やイメージ形成が重要になります。
AIが「おすすめ」として商品を提示したとしても、顧客がそのブランドを知らない、あるいは信頼できる理由を持っていなければ、最終的な購買にはつながりにくいかもしれません。
だからこそ、AI時代においても、PR、SNS、インフルエンサー、店舗体験、イベントなどを通じて、ブランドとの接点を積み重ねていくことが欠かせません。
AIによる発見は、あくまで顧客とブランドが出会うきっかけの一つです。その出会いを購買や関係性へとつなげるには、ブランドの魅力を理解し、納得してもらうための体験設計が必要になります。
今回のセッションから見えてくるのは、AIがファッションECの課題を一気に解決する魔法のような存在ではないということです。
一方で、顧客の気分やシーンに寄り添い、言葉にしにくいニーズをくみ取ることができれば、AIはこれまでにない発見体験を支える協力者になり得ます。
大切なのは、AIを導入することそのものではなく、顧客が迷わず、自分に合った選択肢にたどり着けるようにすることです。
今回のテーマはECを中心としたものですが、リアルな売場づくりにも通じる視点があります。
商品やサービスの魅力をただ並べるだけでは、顧客は自分に合うものを見つけにくいことがあります。売場における顧客体験の視点でも、どの情報を、どの順番で、どのような見せ方で届けるのか。顧客が迷わず理解し、納得して選べるように導く設計が重要です。
店舗空間、什器、サイネージ、Web、SNSなど、顧客との接点が増えるほど、情報の出し方やつなぎ方が体験価値を左右します。
ファッションECにおける「発見」の課題から見えてくるのは、顧客が自分に合うものを見つけ、納得して選ぶためには、情報の出し方そのものを設計する必要があるということです。
これは、リアルな売場や店舗空間においても同じです。
商品の魅力やブランドの世界観を、どの順番で、どのように届けるのか。来店者が迷わず理解し、自然に興味を深められる導線をどうつくるのか。
株式会社ビーツは、リアルとデジタルの接点を横断しながら、ブランドの魅力が伝わる顧客体験づくりを支援していきます。
店舗空間や什器、サイネージを活用して商品理解を深めたい、WebやSNSと連動したブランド体験を設計したい、顧客が自然に選びやすくなる売場づくりを考えたいなど、次世代の店舗づくりにおける課題がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
「NRF 2026」のダイジェストレポートを公開しています。全29ページにわたる主要セッションの詳解と注目企業12社のソリューション分析を、ぜひダウンロードしてお役立てください。
本連載のベースとなっているオリジナルレポートは、株式会社ビーツとワールド・モード・ホールディングス株式会社による共同編集企画です。
当社代表取締役社長の柏木 又浩、および執行役員・西村 幹太がニューヨーク現地で取材した詳細なレポートは、ファッションビジネスメディア「Oui Speak Fashion® Japan」にて順次公開されています。本考察と合わせて、両社の視点が詰まった本編レポートもぜひご覧ください。
オリジナル記事
第4回:AIはファッションECの「発見」を再定義できるか?最前線からのインサイト
本共同編集企画について詳しくは以下のページをご覧ください。
Oui Speak Fashion® Japan https://ouispeakfashion.com/jp/
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