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「二季」化で販促はどう変わる?「秋なし」時代のマーケティング対策とヒント

2025年の「新語・流行語大賞」トップ10に、「二季」という言葉が選ばれました。
そのニュースを見て、「たしかに最近、秋を感じる間もなく、ずっと暑いよね」と共感した方も多いのではないでしょうか。

「春と秋が短くなり、季節の感覚が少し変わってきた。」
そんな変化を言い表す言葉として、「二季」という表現が使われるようになりました。
地球温暖化の影響を受けた気候の変化を表す言葉として、ニュースなどでも見かける二季ですが、この変化は小売・流通における販促や体験設計の現場にも、じわじわと影響を及ぼし始めているようです。

「花見の季節なのに寒い」 「ハロウィンの時期なのにまだ半袖で暑い」
そんな違和感が増える中で、これまで当たり前だった「季節先取り」や「歳時」に基づく販促の考え方が、少しずつズレ始めているのかもしれません。

この記事では、「二季」という環境変化を前提に、販促や体験設計の現場で今なにが起きているのか、そして、その中でどんな視点が解決のヒントになるのかを、具体的なエピソードをもとに整理します。

目次

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『「平成女児」とは?Z世代が夢中になるレトロ可愛い世界観』

そもそも「二季」とは|気候変動がもたらす変化

「二季」とは、地球温暖化の影響などによって、日本の春と秋が極端に短くなり、夏と冬の2つの季節だけが長く続くような気候状態を指す言葉です。これまで日本は、春・夏・秋・冬それぞれに異なる表情を持つ「四季の国」と言われてきました。
しかし近年は、海面水温の上昇や高気圧の停滞などにより、夏が早く始まり、かつ長く続く傾向が強まっています。その結果、「気づいたら夏が終わらないまま、急に寒くなって冬に入った」と感じることが常態化しつつあります。

実際に、2025年は最後の猛暑日が10月12日となり、国内史上最も遅い記録を更新しました。
カレンダー上は秋でも、体感としてはまだ真夏に近い日が続く。
こうした「暦と体感のズレ」は、もはや一時的な異常気象ではなく、前提とすべき「ニューノーマル」になりつつあると言えそうです。

「二季」の影響|四季前提の販促が噛み合わない理由

では、二季化は販促の現場にどのような影響を与えているのでしょうか。具体的なシーンから課題を考えてみます。

◆◆◆

「乾燥ケア」を推しているのに、まだ汗ばんでいる

ドラッグストアやコスメ売場のケースで考えてみます。9月に入り、メーカーの発売カレンダーに合わせて、濃厚な保湿クリームや「乾燥対策」をうたった秋冬向けの新商品が売場に並ぶようになります。
けれど外に出ると、気温はまだ夏日。来店客が感じている肌悩みは、「乾燥」よりも汗、皮脂、紫外線といったものが中心です。

・「こっくりしたクリームはまだ重たい」
・「それより、冷感シートや日焼け止めが欲しい」
そんな声が聞こえてくる中で、売場が提案する「季節のケア」と、生活者がリアルに感じている身体的な不快感が噛み合わない。結果として、新商品の露出は増えているのに販売の初動の反応が伸び悩んでしまう。
二季化の影響は、こうした“売場の違和感”としても表れやすくなっています。

◇◇◇

「今着る服が分からない」から、買わない

次は、アパレルや雑貨の売場で考えてみます。朝夕は一瞬涼しいけれど、日中は真夏のように暑い。売場は完全に秋冬物に切り替わっていますが、お客様の頭の中は疑問符でいっぱいです。
・「これ、いつ着るんだろう」
・「まだ使うには暑そう」
・「来週は暑い?寒い?結局いつ着るの?」

商品は魅力的でも、「着るタイミング」「使うタイミング」が判断できないため、「今日はやめておこう」と購入が見送られてしまうケースもあるのではないでしょうか。

◆◆◆

屋外イベントへの参加をためらう

今度は、屋外イベントを思い浮かべてみます。
これまでは「春や秋は、外で過ごすのにちょうどいい行楽シーズン」という共通認識がありました。けれど最近は、「行ってみようかな」と思っても、過酷な気候がハードルになりがちです。

春は寒暖差が激しく、強風の日も多い。 秋は、暦の上では秋でも、直射日光が厳しく熱中症リスクがある。

・「思ったより暑くて、長く滞在できなかった」
・「寒さが気になって、早めに切り上げてしまった」

こうした経験が重なり、屋外体験への参加に対して「気候リスク」を懸念する心理的なブレーキがかかりやすくなっています。

二季化で起きているのは、顧客の「迷い」と「保留」

ここまで見てきたエピソードは、どれも特別なケースというより、最近よく見聞きする光景ではないでしょうか。

・秋のはずなのに、まだ暑い。
・売場は秋仕様なのに、体感は追いついていない。
・欲しい気持ちはあるけれど、「今買うべきか」が分からず決めきれない。

二季化によって起きているのは、何かが極端に悪くなった、という話ではなく、「今まで通りの提案」に対する小さな違和感と、それに伴う「判断の保留」と言えるかもしれません。

季節・行事・体感・気分など、これまで自然にリンクしていた要素が噛み合わなくなり、「今はどう動くのが正解なのか」が分かりづらくなっている。その結果、買う・行く・参加する、といったアクションの手前で立ち止まってしまうことにつながります。

こうした「迷い」や「保留」は、気分や心理の問題だけでなく、実は気温や天候といった、より具体的な要因とも結びついています。

気温と売上の関係から考える、「ウェザーMD」の視点

ここで少し視点を変えて、気象データと消費の関係を見てみます。流通業界には、気温の変化と売れる商品の相関関係を分析する「ウェザーマーチャンダイジング(ウェザーMD)」という手法があります。
一般的に、消費者が「欲しい」と感じるスイッチが入る気温の目安は、以下のように言われています。

◆25℃以上: アイスクリームやビール、清涼飲料水が売れ始める
◆20℃〜22℃: 長袖シャツやカーディガンが動き出し、半袖の売上が落ちる
◆15℃以下: 鍋物食材の需要が急増し、ホットドリンクが好まれる

二季化の時代において厄介なのは、この「20℃」や「25℃」といった境界線を、季節が行ったり来たりする「乱高下」が頻発することです。10月なのに25℃を超えて「夏日」になったかと思えば、翌週には15℃近くまで下がる。こうした環境下では、「10月だから一律で秋物」というカレンダー通りの販促だけでは、生活者の感覚(=購買スイッチ)とズレてしまうのは必然ではないでしょうか。これからの販促には、昨年対比やカレンダーだけでなく、「週間天気予報」を味方につけた判断が、これまで以上に求められていくかもしれません。

もちろん、気温に合わせればそれで全部うまくいく、という話でもありません。
二季化が進んでも、変わらず人の気持ちを動かすものもあります。
それが次に挙げる「歳時(イベント)」です。

二季化しても「歳時(イベント)」は重要な動機

二季化によって季節感のズレは増えていますが、花見やハロウィン、クリスマス、お正月、新生活といった「歳時」が機能しなくなったわけではありません。

体感とのズレはあっても、「この時期だから」「この節目だから」と、消費を行う理由として歳時が持つ力は依然として強力です。むしろ二季化が進み、季節の移ろいを感じにくくなったからこそ、こうしたイベントが「季節を確認するマイルストーン」として、より意識されやすくなる可能性さえあります。

ただし、以前と同じやり方(決まりきったスケジュールと表現)で、同じ反応が得られる時代ではなくなりつつある、とは言えそうです。

二季を前提にした、これからの販促 3つのヒント

では、二季の時代において、販促や体験設計はどうアップデートすべきでしょうか。3つのヒントを挙げます。

ヒント1.

季節に依存しすぎない、通年視点を持つ

「春夏秋冬」で売場をガラリと変えることを前提とせず、気候に左右されにくいテーマや設計をあらかじめ組み込んでおきます。 「いつ来ても成立する」「何度来ても発見がある」。そんな通年視点(タイムレスな価値訴求)を持つことは、二季化でブレやすい販売環境に対するリスクヘッジになるはずです。

ヒント2.

「季節だから」より「今の状況」に寄り添う

暑い、寒い。外に出たくない。判断する余裕がない。二季化の中では、こうした生活者の「今のコンディション」がこれまで以上に行動を左右します。販促においても、「秋だから」という企業側の都合ではなく、「今の気温にちょうどいい」「今のあなたの不快を取り除く」といった、生活者視点での切り口や表現がより求められるようになるかもしれません。

ヒント3.

「フレキシブルな販促」への転換

新商品の発売時期やキャンペーン期間自体は、サプライチェーンの都合上、簡単に動かせるものではありません。一方で、生活者が感じる「暑さ・寒さ」はその年、その日によって大きく変わります。

このギャップを埋めるためには、決めた表現を固定して出し続けるのではなく、その時の状況に合わせてクリエイティブを調整できる余地を持たせることが現実的な選択肢の一つです。

「今日は暑い日だから、涼しさを訴求する」
「今週は寒さが戻ったから、温かさ・保温を前に出す」
「気温が読みにくい時期は、“重ね着・調整しやすい”アイテムを提案する」

こうした「フレキシブルな販促」を考える上で、情報を柔軟に切り替えられるクラウド型デジタルサイネージのような仕組みを活用するという考え方もあります。ポスターなどの印刷物で固定した訴求を行うのではなく、その時、その場の状況に合わせて伝え方を変える。 二季の時代の販促には、そんな「可変性のある設計」の重要性が高まっていると感じます。

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まとめ|柔軟性がカギになる二季時代のプロモーション

二季化によって、季節と体感のズレは今後も拡大していくと考えられます。
生活者の行動や判断が読みづらくなる中で、プロモーションの成果を左右する要素の一つとして、「修正力」がより重要になってきているのかもしれません。

計画通りに進めるだけでなく、目の前の天気や生活者の体感に合わせて、メッセージを微調整できるか。二季の時代は、生活者の「今」にどれだけ寄り添えるかが、選ばれる商品・ブランドになるためのヒントになりそうです。

二季の時代に、ビーツができること

二季化による「季節と体感のズレ」に対し、従来の固定的な販促手法では対応が難しくなっています。
私たちビーツは、プロモーション設計、ポップアップ、DM、各種販促ツールの企画・制作を通じて、生活者の状況やマインドに寄り添った販促設計を支援しています。また、予測できない気候変動に合わせて、必要に応じて配信内容を切り替えられるクラウド型デジタルサイネージ「クラモニ」の導入・運用もサポートしています。

固定した表現に縛られず、「今の状況に合った最適な伝え方」を届ける。

二季の時代における販促の考え方として、ご参考になれば幸いです。

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