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無人店舗とは? 事例・運営方法・そこにはトラブルも。コンシェルジュ機能を持った無人運用。

近年、無人で商品の販売を行う「無人販売店舗」が増加していることはご存知でしょうか。

コンビニエンスストアを中心にメディアで取り上げられることも増えてきており、日常の中で無人店舗を利用したことがある、という方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。

無人店舗と聞いて真っ先に思い浮かぶのは「無人レジ」かと思います。

アパレルや小売を中心とした無人レジの導入はかなり進み、10〜60代の消費者の内、約9割は「無人レジを知っている」と回答するほど、生活の中に定着してきています。(参考:株式会社インテージ-セルフレジ利用動向の実態調査)

しかし「接客」という点においては、「無人では成り立たないのでは」と考える方も多いのではないでしょうか。

全くの無人店舗で発生するトラブルや問い合わせはどう対処するのか、そもそも全くの無人店舗というのは一体どういうものなのか。

本記事では、無人店舗の運営方法やメリット、導入の実例などをご紹介していきます。

目次

1.無人店舗とは

無人店舗という言葉は主に、カメラやセンサー等のさまざまなデジタル技術を活用することで、店舗で案内をしたり決済対応をしたりするスタッフがいない状態で運営している(=無人)店舗をさして使われています。

無人店舗というと文字通り「人のいない店舗」をイメージしますが、実際には完全無人の店舗というのものはほとんどありません。
小売店のような商品を取り扱う店舗の場合、商品の補充などは人が行う必要があったり、実際にはバックヤードにスタッフがいて最小限の人員で運営しているという場合もあります。

▶こちらの記事もご覧ください。

2.国内の無人店舗例

いま日本ではどのような無人店舗が運営されているのでしょうか。
いくつか代表的な例をあげてみます。

1.無人餃子販売所

無人店舗として最も注目を集めたのは「無人餃子販売所」ではないでしょうか。
なかでも「餃子の雪松」は2018年9月に1号店がオープンしてから約4年で現在はなんと417店舗(2022年9月現在)も全国に展開されています。
「餃子の雪松」は冷凍ケースに冷凍餃子が陳列してあり、アナログな料金箱(賽銭箱のようなイメージ)に料金を入れるというシンプルな形式で運営されています。「餃子の雪松」の成功をきっかけに他餃子店の無人店舗も展開され、一大ブームと言っても過言ではない動きを見せています。

参考:「餃子の雪松」が全国制覇しても絶対変えない流儀

2.無人フィットネスジム

24時間営業の無人フィットネスジムも近年店舗数が拡大しています。
オンラインでの入会対応や予約対応、決済対応、店舗での入退場管理システムなどのさまざまなデジタル技術を活用することで、「予約した会員だけがジムに入場できる」というしくみを構築し無人運営を可能にしています。

参考:次世代型完全無人24時間フィットネスジム「ECOFIT24」のFC事業正式スタート

3.無人古着ショップ

無人古着ショップも、全国で増加しつつあり、価格帯ごとにハンガーの色を変え、購入したい商品のハンガー色の料金チケットを券売機で購入する手法などがとられています。実際にはバックヤードにはスタッフが常駐していたりするケースが多いようですが、無人店舗の取り組みとしてこちらも注目を集めました。

参考:24時間営業の無人古着店「ムジンノフクヤ」から考える、非接触型店舗の可能性

4.無人コンビニ

無人コンビニは大きく分けると「レジがあるお店」と「レジがないお店」があります。
レジがあるお店は「セルフレジ」を使い自分で決済対応をする必要がありますが、レジがないお店は、店内に設置されたセンサーや商品のタグ等を活用し、お客様がどの商品を手に取ったかを認知し、店舗入口のゲートを通り抜けるだけで決済まで完結する、まさに「ウォークスルー」で購入できる仕組みなどが採用されています。

また、人手不足など社会課題解決にも期待がもてる事象もでてきています。

参考:『無人』コンビニ21日に開店…人手不足解消と便利さ向上に期待 万引き防止は『防犯カメラ』と秘密兵器『ゲート』

5.無人ホテル/レンタルスペース

予約管理システムやスマートロック等の技術を活用して、チェックイン/アウト作業をフロントスタッフに対応してもらう必要なく、セルフで行う方式で運営されるホテルや貸し会議室なども増加してきました。

ここにあげた例は一部ですが、他にもさまざまな事例がどんどん増加しています。

3.無人店舗の運営方法

では、無人店舗を運営するためにはどのようなものが必要でしょうか。

無人店舗には、

●顔認証技術やセンサー技術、入退場管理システム、セルフレジの導入等それぞれの業態に必要なデジタル技術を活用しているケース
●料金箱や券売機など意外とアナログな運用をベースにしているケース

と両方があります。
どのような技術を活用すればお客様のストレスなくスムーズに運営できるかという点はケースバイケースですが、どちらにも共通しているのは「監視カメラ」の活用です。

基本的に無人店舗の運営には監視カメラでの防犯対策が欠かせません。
無人(または省人)で運営するという特性上、店舗にある防犯カメラの中でも特にAIが分析、検知しリアルタイムに異常(不審な人物がいる等)を知らせる機能を持つような最新の防犯カメラが注目を集めています。

しかし防犯カメラを活用したとしても、100%安全に運営することは簡単なことではありません。

無人店舗が話題になって以降、特に事件などのニュースはありませんでしたが、
2022年夏、とある無人餃子販売所で連続窃盗事件が発生しニュースで報じられています。

もちろん犯行は防犯カメラに映っていますが、「カメラを設置していても万引き行為をする」防止効果がある」とはいえ、1度トラブルが発生すると無人店舗への不安は高まってしまうのではないでしょうか。

4.無人店舗でのトラブル

商品を販売する無人店舗で想定するトラブルというとまず思い浮かぶのは先述のような「万引き」だと思いますが、無人店舗運営はその他にもさまざまなトラブルを想定する必要があります。

例えば、

●店舗で使用している備品をお客さまが破損してしまった
●導入したシステムにエラーが発生し反応しない
●セルフレジで釣銭が出ない
●セルフレジの使い方が分からない
●予約時間を過ぎているのに他のお客様が出てこず、入室できない

このようなトラブルが発生したらどのように対応するのか、利用者の安全性を確保できるのか、利用者の利便性を損なわないのか・・・

無人店舗では、お客様の立場からも不安が残る点があります。

店舗を無人にすることで確かに運営費用が抑えられるということがあるのはもちろんですが、肝心のお客様にとって安心して、納得感をもってその場を活用することができるでしょうか?

極力リアルの人の数を減らしつつも、何かあったときには会話して、理解を深めたり、コミュニケーションをとることでそのお店やブランドを好きになる接客機会を残しておくことも、無人店舗運営の秘訣になっているようです。

お客様に電話をかけていただき対応する、呼び出しボタンを設置しておき対応する等、トラブル対応をどのように行うかという点を予め考え、体制を構築することも無人店舗運営の大切なポイントのひとつです。

無人運用の施設の中でも、お客様との接点を大切にしてお困りごとを解決するリモートコンシェルジュの事例を是非ご参照ください。

5.無人店舗のメリット/デメリット

次に、無人店舗の運営にはどのようなメリット/デメリットがあるのかについて述べていきます。

まずはデメリットについてです。

前章でも述べたように、トラブルに対する対応の遅れや、安全性の確保が難しい点です。
無人店舗という性質上どうしてもセキュリティ上の課題は有人店舗より増してしまいます。(ただし入店に個人認証が必要であったり監視カメラを活用することで未然防止効果も期待でき、ある意味、有人店舗よりも安全であるという考え方もできます。)

また最新のデジタル技術を多数活用するような店舗の場合は、システム導入費用等の初期コストが大きくかかってしまうという点もデメリットといえます。

一方で、無人店舗のメリットは大幅な人件費の削減、非接触運営の実現やスタッフの業務効率化をはかることができる点です。

特に人件費に関しては、無人店舗への切り替えにより年間で大幅に削減が可能になる場合もあります。

無人店舗は一過性のブームではなく、人手不足が社会問題となる日本では課題解決できる次世代型店舗として今後も一定の拡大を続けるのではないでしょうか。

業態に合わせて無人店舗のしくみを検討し、防犯対応、トラブル対応を含めた運営のあり方を模索することが、無人店舗運営には不可欠です。

6.無人店舗にオススメのシステム

無人店舗の運営に欠かせない「トラブル対応」を検討するうえで、おすすめしたいシステムは「リモート接客システム」です。

リモート接客システムは遠隔地からリモートで画面越しにスタッフとの会話(ビデオ通話)ができるシステムです。リモート接客を活用することで無人店舗内でトラブルが発生した際、お客さまからのお問い合わせが発生した際にスムーズなご案内が可能になります。

電話ではお客さまが伝えたいトラブルの内容がうまく伝わらない、という場合も顔や様子を見ながら会話することでスムーズに理解ができます。
機材のトラブルや操作方法の問い合わせ等は実際に目で見ながらご案内したほうが的確な対応が可能になります。

またお客さまにとっても画面越しとはいえ、実際にスタッフがすぐに対応してくれるという点は安心感があります。有人店舗でスタッフに質問するのと同じ感覚ですぐに質問し丁寧に対応してもらえるという点は、無人店舗では欠けがちな「人による対応のあたたかさ」のあるお客様によりそった対応ともいえるのではないでしょうか。

近年ではさまざまな特徴を持ったリモート接客システムが増えているため、無人店舗の業務体系に合ったシステムを選ぶことが重要です。

弊社取扱の「えんかくさん」では基本機能として複数拠点の同時監視はもちろん、画面への資料投影機能やアバター機能、呼び出し機能などさまざまな機能を兼ね備えております。

特にお客さまに対してお声掛けができる「お声掛け機能」も搭載しているため、無人店舗でも対面接客同等、またはそれ以上の接客クオリティを可能にします。

もちろん、ご希望に沿った機能を開発することもできますので、お悩みや不安要素を商談の際などにご相談いただければ、解決に向けて提案させていただきます。

また、リアルでの売り場づくりに強い弊社だからこそモニターまわりの装飾や、無人店舗向けの店内POPなどもまとめてご対応させていただきます。

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7.無人店舗:リモートコンシェルジュ事例

1.旅行

南海国際旅行様:観光案内所をリモート接客で無人化

人手不足が叫ばれる昨今、観光案内所の無人化にオンライン接客を起用しました。

これまで3人で2か所を回していたところ、2人で対応できるようになり、稼働時間短縮とコスト削減につながりました。

また無人化することで、「人への圧」が軽減し、これまで1日約10名の来所者数が約20名と2倍に増加しました。また50名以上が来所する日もあり、来所者数は最大5倍を達成しています。スタッフが待ち構えているように見える有人観光案内所より、気軽に立ち寄りやすい無人観光案内所にすることで、お客様の心理的ハードルが下がったのだと思います。結果的に、案内所に設置しているパンフレットなどの持ち帰り数も増加し、市の魅力をより多くの方に知っていただくことにも繋がりました。

2.食品スーパー

三浦屋様 JALUX様:スーパー店頭でのサイネージ告知とリモート接客でチリの上質ワインの日販数が約7倍に。

都内に7店舗展開するスーパーマーケット三浦屋様で、JALUX様のワイン「エラスリス」のリモート販売の実証実験を実施しました。2店舗のワイン売場にモニターを設置し、都内の別場所にあるスタジオから販売スタッフが店頭をモニタリング。買い物中のお客様にお声掛けし、「エラスリス」の魅力を伝えるスライドをモニターに表示してご紹介。商品特徴やよく合うメニューなどをご紹介することで、「エラスリス」ブランドの認知や購買を促進しました。

2店舗のPOSデータでは販売計測期間中(2023年6月14日(水)~7月2日(日) 19日間)合計50本の「エラスリス」が購入され、うち33本がリモート接客を実施した4日間に購入されました。

1日平均の販売数では、リモート接客を実施していない日の1.13本の約7倍にあたる8.25本となりました。

8.まとめ

本記事を読んでいただき、無人店舗の運営についてイメージが湧いたのではないでしょうか。

デメリットもあるため解決に向けてさまざまな対応が必要になってきますが、無人店舗の運営を開始してしまえば、業務効率化がはかれる上に費用削減も期待できます。

まさに、次世代店舗として魅力的な店舗の運営を可能にします。
運営をご検討されている方はぜひ、お気軽にお問い合わせください。

リモート接客運営サポート経験のある弊社の知見を活かし、提案からサポートまでさせていただきます。

また、セルフレジの導入についても弊社にて併せて対応させていただきます。

目的に合わせた最適なソリューションをまとめてご提案させていただきますので、
ぜひ一度お問い合わせください。

8.コラム:無人販売機も活況!

店舗を構えるタイプの無人店舗だけではなく、近年「無人販売機」の展開が増加していることをご存知でしょうか。無人販売機は省スペースな無人店舗ともいえます。街中でも飲料以外の自動販売機を見かけることが増えてきました。あれ?こんなものが自販機で売ってるの?という驚きの出会いもあります。

いったいどんなものが今自動販売機で購入できるのかふと気になり調べてみると、事例がどんどん出てきました。


お弁当、パン、お土産、サラダ、ラーメン、大福、焼き鳥、お菓子、ホルモン、ハンバーグ、ケーキ、ステーキ、お刺身、焼き芋、マカロン、だし、ドレッシング・・・あげればきりがないほど!!

このような多彩なアイテムが登場したのは、コロナ禍で外出自粛が叫ばれていたころ、来店客の減少した飲食店の対応策としての取り組みがきっかけだといわれています。そして大手企業のみが対応しているわけではなく、地方の個人店舗等でも取り入れられ全国に拡大しているようです。

さらに食品だけにとどまらず下記のような自販機もあります。

●ふるさと納税
その場で返礼品がもらえる「ふるさと納税自販機」が観光地に多数設置されている。

●腕時計
2021年に自販機でしか購入できない缶に入った腕時計が発売「タイメックス × コカ・コーラ コラボレーション ウォッチ」が販売された。

●コスメ
花王の化粧品ブランドKATEが開発した「KATE iCON BOX」という自販機では、AIがお客様の顔を分析し、個人に合わせてカスタマイズしたアイシャドウを販売している。

●花
2021年に日比谷花壇がいつでも気軽に花が購入できるように、と「花の自動販売機」を期間限定で展開していた。

●市販薬
2022年5月~8月には大正製薬がJR新宿駅でなんと市販薬の自販機の実証実験を実施。症状からえらぶ、商品からえらぶ、の2種類の選び方があり、前者の場合タッチパネルで症状を選んでいくと該当する商品が絞り込まれるしくみ。商品を選んで注意事項等を確認すると、近くのドラッグストアにその情報が送られ、薬剤師・登録販売者が内容を確認→販売が承認されると決済画面がでてくるというもので、約30品目の市販薬を購入できるようになっていた。

このように自販機で購入するということに新しい付加価値を持たせた取り組みや、利用者にとって利便性の高い取り組みがどんどん登場していることが分かりました。

店という形式にとらわれない自動販売機・無人販売機という形での無人化もさまざまな可能性を秘めていそうでワクワクしますね!

市販薬のように購入の際に人による確認が必要な商品を取り扱う場合や、接客を伴うほうがより良いサービスを提供できるような場合、「自販機×リモート接客」なんてかたちも実現できそうです。

弊社(ビーツ)は「こんなことって実現できるかな?」というご相談にもさまざまなご提案をさせていただきます。
ビーツってどんな会社?という方にもわかりやすく事例も掲載していますのでぜひWEBサイトも参考にしてみてくださいね。

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