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ゼロクリック検索とは?クリックされない時代のSEO戦略

Google検索で情報を調べた際、検索結果ページを見るだけで疑問が解決し、Webサイトをクリックしなかった経験はないでしょうか。
このような検索行動は 「ゼロクリック検索」 と呼ばれ、近年急速に増加しています。

オウンドメディアを運用する企業のマーケティング担当者からは、
「検索順位は上がっているのに流入が増えない」「SEO対策をしても成果が見えにくい」「これまでのコンテンツ施策が通用しなくなってきた」といった声が多く聞かれるようになりました。
その背景にあるのが、クリックされない検索体験が当たり前になりつつあるという変化です。

本記事では、BtoB企業のマーケティング・販促担当者を主な対象として、「ゼロクリック検索とは何か」という基本から、SEOやリード獲得に与える影響、そして、ゼロクリック検索時代にどのように向き合うべきかを解説します。

目次

ゼロクリック検索とは?基本的な仕組みと特徴

ゼロクリック検索とは、検索結果ページ上に表示される情報だけでユーザーの疑問が解決し、Webサイトへのクリックが発生しない検索行動を指します。

ユーザーは検索結果を閲覧するだけで必要な情報を取得できるため、ページ遷移を行わずに検索を終了します。
近年のGoogle検索では、検索体験の向上を目的に、検索結果ページ内で直接回答を提示する機能が拡充されています。その結果、従来であればWebサイトへ流入していた検索行動が、検索結果ページ内で完結するケースが増加しています。

ゼロクリック検索が発生しやすい主な表示形式は、以下のとおりです。

●強調スニペット

検索結果の最上部に、質問への回答が簡潔に表示される枠。
「〇〇とは」「〇〇 方法」などの検索で表示されやすいのが特徴です。


●FAQリッチリザルト

検索結果上に「よくある質問と回答」が展開表示される形式。
複数の疑問をクリックせずに確認できます。


●ナレッジパネル

企業名やサービス名を検索した際に表示される情報枠。
会社概要や公式サイト、SNSなどがまとめて表示されます。


●ローカル検索結果(地図・店舗情報)

地域名を含む検索で表示される地図連動型の検索結果。
営業時間や口コミなどが検索結果内で確認できます。

これらの表示形式は、ユーザーにとって利便性が高い一方、企業のオウンドメディアにとっては「検索順位が高くてもクリックされない」状況を生み出す要因となっています。
そのため、ゼロクリック検索を前提としたSEO戦略の再設計が求められています。

なぜゼロクリック検索が増えているのか

ゼロクリック検索が拡大している背景には、検索エンジンの進化だけでなく、ユーザーの検索行動そのものの変化があります。

ここでは、特に影響の大きいとされる3つの要因を整理します。

●検索エンジンのUX最適化

Googleは近年、「ユーザーができるだけ早く、正確な答えにたどり着けること」を最優先に設計を進めています。
その結果、検索結果ページ自体が単なるリンク一覧ではなく、情報を直接提供する場へと進化しました。
強調スニペットやFAQリッチリザルトなどの表示が拡充されたことで、ユーザーはWebサイトを訪問しなくても、検索結果内で疑問を解消できるようになっています。
このUX重視の方針が、ゼロクリック検索を加速させる大きな要因となっているとされています。

●スマートフォン・音声検索の普及

スマートフォンや音声検索では、PC検索以上に「短時間で答えを知りたい」というニーズが高まります。
移動中や作業中など、限られた時間・画面サイズの中で検索する場面が増えたことも、その背景にあります。
このような環境では、長文記事を読むよりも、一目で分かる簡潔な回答が求められます。
その結果、検索結果上で完結する情報提供が当たり前となり、ゼロクリック検索が自然に増加しています。

●情報収集行動の変化

ユーザーの情報収集の仕方も、大きく変化しています。
現在は、いきなり詳細な情報を読み込むのではなく、まずは概要や結論を把握し、その後に必要に応じて深掘りするという行動が一般的です。
検索結果ページは、この「最初の理解」を担う一次情報の役割を果たしています。
そのため、検索結果だけで満足するケースが増え、クリックを伴わない検索行動が定着しつつあります。

これらの変化が重なり合い、ゼロクリック検索は一時的なトレンドではなく、今後も続く検索行動のスタンダードとなりつつあります。

ゼロクリック時代に、SEOはもう意味がないのか?

「ゼロクリック検索が増えるなら、SEOに力を入れる意味はないのでは?」そう感じるマーケティング担当者も少なくありません。

しかし結論から言えば、SEOの重要性が下がったわけではありません。
変わったのは、「SEOの役割」です。

従来のSEOは、検索 → クリック → 流入 → CV
という直線的なモデルが前提でした。

一方、ゼロクリック検索時代のSEOは、検索 → 認知・理解 → 想起 → 別チャネルでの接触 → CV
というように、長期的・複合的な役割を担っています。

従来のSEOは、「検索結果からWebサイトへ誘導すること」を主目的としていました。
一方、ゼロクリック検索時代のSEOは、検索結果そのものを重要な接点と捉え、認知や理解を積み重ねる役割を担っています。


検索結果に継続的に表示されることで、企業名やサービス名がユーザーの記憶に残り、後の指名検索や問い合わせ、他チャネルでの接触につながるケースも増えています。
そのため、SEOは「流入を生む施策」から、「選ばれる土台をつくる施策」へと進化しています。

ゼロクリック検索時代に見直すべきKPI・評価指標

クリック数やPVだけを見ていると、ゼロクリック検索時代のSEOは「成果が出ていない」と判断されがちです。


しかし、評価指標を見直すことで、SEOの本来の価値が見えてきます。

・検索結果の表示回数(Search Console)
・指名検索数の増加
・他チャネル経由のCVとの相関
・商談時の接触コンテンツ


SEOを「流入数の施策」ではなく、認知・信頼形成を含めたマーケティング基盤として捉えることが重要です。

ゼロクリック検索を前提としたSEOコンテンツ戦略

クリックされない時代のSEOでは、あえて検索結果で答えを出すコンテンツ設計が求められます。

・冒頭で結論を提示する
・定義・要点を簡潔にまとめる
・箇条書きや表を活用する

そのうえで、

・なぜそう言えるのか
・実務ではどう活用すべきか
・他の選択肢とどう違うのか

といった深掘り情報を記事内で提供することで、「次に知りたい人」からのクリックを獲得できます。
特にBtoB領域では、用語解説だけで終わらず、判断材料や事例まで提示することが差別化につながります。

SEOと販促施策を連動させる考え方

ゼロクリック検索後、ユーザーはすぐに問い合わせをするわけではありません。
検索結果で得た情報をもとに理解や興味を深め、別のタイミング・別の接点で行動するのが一般的です。

そのため、ゼロクリック検索時代のSEOは、単体で成果を求めるのではなく、他の販促施策と連動させる設計が重要になります。

●資料ダウンロードによるリード獲得

検索結果で関心を持ったユーザーに対し、課題解決につながる資料やホワイトペーパーを用意することで、リード獲得につなげることができます。
SEOコンテンツは、検討の入口としての役割を担います。


●メール・MAによる継続接触

一度獲得したリードに対しては、メールやMAを活用し、継続的な情報提供を行うことが重要です。
検索結果で生まれた関心を、中長期的な信頼関係へと育てる役割を果たします。

●広告・展示会・ウェビナーとの併用

ゼロクリック検索で接触したユーザーが、広告や展示会、ウェビナーを通じて再接触するケースも少なくありません。
SEOを起点に複数のチャネルを横断することで、意思決定を後押しできます。

検索結果での接触を起点に、複数のタッチポイントを通じて関係性を深めていく設計こそが、ゼロクリック検索時代の成果につながるマーケティング手法です。

まとめ|ゼロクリック検索時代に求められるSEOの考え方

ゼロクリック検索の増加により、「検索順位が高い=成果が出る」という従来のSEOの考え方は通用しなくなりつつあります。
しかし、SEOそのものの価値が失われたわけではありません。

重要なのは、SEOを流入獲得の施策から、認知・理解・信頼を積み重ねるマーケティング基盤として捉え直すことです。

・検索結果での表示が、最初の接点になる
・クリックされなくても、記憶や想起につながる
・他施策と連動することで、最終的な成果に結びつく

ゼロクリック検索は、SEOの終わりではなく、SEOの役割が進化した結果と言えます。

検索結果を「通過点」ではなく「価値提供の場」として設計し、
その先の販促施策とつなげていくことで、クリックされない時代でも成果を生み出すSEO戦略が実現します。

ゼロクリック検索の先にある、リアルなブランド体験へ

ゼロクリック検索が当たり前になった今、検索結果で生まれた関心や印象は、その場で完結するのではなく、別のチャネルでの行動につながる「きっかけ」として機能するケースが増えています。


実際にユーザーは、検索で得た情報をもとに、SNS、広告、展示会、ポップアップストアなど、さまざまな接点でブランドやサービスに再び触れ、理解を深めていきます。

だからこそ重要なのが、オンラインで生まれた関心を、リアルな場での体験価値へとつなげる設計です。

ビーツでは、企業のセールスプロモーションや展示会、ポップアップストアなど、リアルな場でのブランド体験づくりを数多く手がけてきました。


最近では、Z世代に人気の韓国ブランドやキャラクターをテーマにしたポップアップストアも担当し、「思わず写真を撮りたくなる」仕掛けや、SNSにシェアしたくなる演出によって、オンラインとリアルを横断したブランド接点を創出しています。


展示会ブースやポップアップストア、プロモーション企画について、「検索後の接点設計」まで含めて検討したいとお考えでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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