ウィッシュコアとは?Z世代に広がる「○○コア」ワード

2025年の春から初夏にかけて、「ウィッシュコア」という言葉を、ニュース記事やSNSの投稿で見かける機会が増えてきました。同じ頃、「バレエコア」や「エンジェルコア」など、「○○コア」という言葉も、あわせて目にする場面が多かったように感じます。
今回の記事では、ウィッシュコアとは何かを起点に、広がる「○○コア」ワードの種類や背景を振り返りながら、2026年のZ世代マーケティングにつながりそうなヒントを探っていきます。
▼2025年流行語大賞にノミネートされた「平成女児」について解説した記事はこちら

「ウィッシュコア」とは
ウィッシュコアは、韓国のK-POPボーイズグループNCT WISHの世界観をきっかけに広がったスタイルとされています。「願い」や「夢」、「祈り」がテーマになっており、パステルカラー、星・クローバー・天使の羽・ドット柄・雲などのモチーフが特徴です。Instagramで「#ウィッシュコア」と検索すると、天使の羽の大きな飾りのついたスマホケースや、淡い色合いの投稿が多く並びます。全体として、やわらかくて、少し幻想的なトーンが共通している印象です。

ウィッシュコアの「コア」ってなに?
ウィッシュコアは、「願い」や「夢」、「祈り」がテーマのスタイル。
名前の前半にある「ウィッシュ」は、そのまま wish を指しています。
では、後半の「コア」とは何なのでしょうか。
ここで使われている「コア」は、英語の core。
もともとは「中心」や「核」を意味する言葉ですが、近年はファッションやカルチャーの文脈で、ある世界観や価値観をまとめて指す言葉として使われることが増えています。
感覚的には、「○○系」の「系」に近い使われ方かもしれません。
(いま日本でよく聞く「○○界隈」と、少し似たニュアンスです)
「○○コア」と呼ばれるときのコアは、ひとつのスタイルや世界観を、ざっくり共有するためのラベルのようなもの。細かいルールや正解があるというより、”「こういう雰囲気」「この感じ」といった空気感をまとめて指す言葉”・・・そんなイメージに近そうです。
こうした「○○コア」は、ウィッシュコアだけではありません。 2025年を振り返ると、Z世代のあいだで、いくつもの「○○コア」という言葉がトレンドワードとなっていました。
ウィッシュコア以外にも!気づけば増えた「○○コア」ワード
たとえば、バレエコア。
バレリーナ風の衣装や練習着を思わせる、軽やかで繊細な世界観が特徴です。
2022年頃から注目され始め、2025年も人気継続中。人気K-POPガールズグループBLACKPINKのJENNIE(ジェニー)が取り入れたスタイリングをきっかけに、韓国を中心に話題が広がりました。チュールスカート、レース、リボン、タイツなどのアイテム、淡い色合いがよく使われています。
エンジェルコアも、そのひとつ。
天使や羽、パール、レースといったモチーフを軸に、より幻想的で、やわらかなムードが印象的なスタイルです。
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こうした「○○コア」ワードは、トレンドランキングなどでも取り上げられています。ウィゴーが運営する WE LABO[ヒト・コト・モノ・バ]研究所が発表した『2025年年間トレンドランキング』では、ファッション部門において、
・「ウィッシュコア」は JK界隈・韓国界隈
・「エンジェルコア」は 二次元オタク界隈
・「バレエコア」は 韓国界隈
と、界隈ごとに注目されていたことがわかります。
(参考:https://labo.wego.jp/2025-trendranking/)
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ウィッシュコア、バレエコア、エンジェルコア。
こうして並べてみると、「これ、ほとんど同じじゃない?」と感じる人もいるかもしれません。
淡い色合いで、やわらかくて、ちょっと幻想的。
投稿やスタイリングを眺めているだけだと、
名前が違うだけで、見た目はそこまで変わらないように感じる場面もあります。
(さらに、クローバーのモチーフに特化した「クローバーコア」や、妖精をテーマにした「フェアリーコア」などもあり、正直、何が何だか……と感じてしまうことも。)
似た世界観を表現している「○○コア」は、すべてをきっちり区別しなくても、「モチーフや世界観の切り取り方で言葉が分かれている」くらいの感覚で、まずは捉えておくとよさそうです。
「ウィッシュコア」や「○○コア」は、どこから来た?
そもそも「○○コア」という言い方自体は、海外のインターネット文化やファッションカルチャーの中で使われてきた表現です。たとえば、映画「バービー」の公開をきっかけに話題になった「バービーコア」や、 2010年代前半の欧米ファッション・カルチャーの中で生まれた「ノームコア」など、世界観や価値観をまとめて指す言葉として、以前から使われていました。
一方で、2025年にZ世代のあいだで広がった「○○コア」ワードを振り返ってみると、
その多くが、韓国のファッションやK-POPカルチャーを経由して広がってきたように見えます。
K-POPの特徴として見逃せないのが、楽曲ごと、アーティストごとに世界観(コンセプト)がはっきり設計されている点です。衣装やビジュアル、アートワーク、SNSでの見せ方まで含めて、ひとつの曲や活動ごとに異なるコンセプトが提示され、その空気感ごと、次々と共有されていきます。
こうした表現が、K-POPや韓国トレンドを通してZ世代に届くことで、
「○○コア」という言葉が、日本でもトレンドワードとして使われる場面が増えてきたのかもしれません。
▼Z世代の韓国トレンドブームについては、こちらの記事もご確認ください。

「○○コア」を取り入れた企業の事例
こうした流れを背景に、ファッションやSNSの枠を超えて、日本の企業による販促・プロモーションの中でも、「○○コア」をテーマにした取り組みが見られるようになってきました。
ニトリ デコホーム「バレエコアスタイル」秋の新商品
2025年9月中旬から発売されたニトリ デコホームの秋の新シリーズは「バレエコア」がテーマに。リボンやチュール素材をモチーフにしたアイテムなど「バレエコア」の要素を反映した商品が展開されました。
ヒルトン福岡シーホーク「エンジェルコア」着想のスイーツビュッフェ
ヒルトン福岡シーホークが2026年1月から提供するスイーツビュッフェは、「ストロベリー ヘブン(Strawberry Heaven)~いちごに恋した天使の耽美~」と題され、天使や羽のモチーフで表現した「エンジェルコア」な世界観で展開されます。
アートホテル大阪ベイタワー「ウィッシュコア」テーマの会場装飾
アートホテル大阪ベイタワーでは2026年1月から「ウィッシュコア」の世界観をテーマにしたレストラン装飾を開始。「羽を休めた天使たちが開く、きらめくパーティー会場」をイメージした空間演出が行われます。
このように、「○○コア」は世界観を共有するためのヒントとして、企業のプロモーションや空間演出にも広がり始めています。
2026年、「○○コア」はどうなる?
2026年のZ世代が選ぶトレンド予測を見てみると、
意外にも「○○コア」という言葉が、ひとつもランクインしていないことに気づきます。
2025年上半期には、「ウィッシュコア」をはじめ、さまざまな○○コアが話題になっていただけに、この変化は少し気になるところです。
ただ、これは「○○コアのトレンドが終わった」と単純に言い切れる話でもなさそうです。
実際に、2026年のトレンド予測を見てみると、
「魔法少女界隈」や「少女漫画界隈」といった言葉がランクインしており、
似たニュアンスの世界観やムードそのものは、別の名前で語られ続けているようにも感じられます。
呼び方は変わっても、Z世代が「かわいい」と感じ、惹かれている世界観そのものは、大きく変わっていないのかもしれません。
トレンドの名前より、Z世代が惹かれる世界観を見る
Z世代のトレンドを見ていると、次々と新しい言葉が生まれては更新されていくように感じます。
「ウィッシュコア」「バレエコア」「エンジェルコア」など、世界観ごとに細かく名前がつけられてきましたが、その奥にあるムードを見てみると、共通する感覚も多く見えてきます。言葉は移り変わっていく一方で、好まれる世界観や空気感そのものは、名前を変えながら続いているようにも感じられます。
だからこそ、トレンドワードそのものよりもその奥にある空気感や世界観に目を向けながらZ世代の感性がどこに向かっているのか。リテールボイスでは、今後もそんな視点で探っていけたらと思います。
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株式会社ビーツでは、展示会やポップアップストア、空間演出、プロモーション企画を通して、こうした世界観やムードを、リアルな体験として形にするお手伝いをしています。
「いま、どんな空気感が届きそうか」
「このブランドらしく、どう表現するか」
トレンドを追いかけるのではなく、世界観を読み取り、体験に落とし込む。
そんな視点でプロモーションを考えたいときは、ぜひ一度、ビーツのWEBサイトものぞいてみてください。
