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「平成女児」とは?Z世代が夢中になるレトロ可愛い世界観

2025年2月、SNSで「平成女児チョコ」がちょっとした話題になりました。
板チョコを溶かして、アルミカップに流し、カラフルなチョコスプレーをふりかける。
小学生の頃、一度は作った記憶がある…かもしれない、あの“手作りチョコ”です。
思い出がよみがえるようなそんなチョコに「懐かしすぎる!」と共感の声が集まりました。
そんな“ちょっとダサかわいい”空気感をまとったカルチャーが、「平成女児」と呼ばれています。

リテールボイスではこれまで、Z世代の感性に寄り添うトレンド記事を3本公開してきました。
Y2Kなどの2000年代カルチャーが再評価される中、今回注目したいのがこの「平成女児」です。
この記事では、この“懐かしくて新しい”世界観がなぜZ世代に受け入れられているのかをひもとき、
プロモーションや空間づくりにどう活かせるかを探っていきます。

目次

Z世代トレンドレポート「Y2KからY3Kへ:Z世代注目の最新トレンドと企業事例を解説」もぜひご覧ください!

「平成女児」ってなに?知らない人向けのやさしい解説

「平成女児(へいせいじょじ)」とは、2000年代前半に小学生だった女の子たちの文化やアイテム、感性をルーツに、Z世代のあいだで今ふたたび注目されているカルチャーです。

Z世代とは1996年頃〜2010年頃生まれの世代。その中でも、「平成女児」的な世界観との距離感は人それぞれです。なので、ざっくり2つに分けてみると理解しやすいかもしれません。

グループ1

実体験派(1996〜2001年頃生まれ)

現在20代半ば~後半のこの層にとって、平成女児の世界観はまさに”あの頃自分が通ってきた道”!
サン宝石、セーラームーン、オシャレ魔女ラブandベリー、プリキュア、たまごっち…全部リアルな記憶として残っていて、「なつかしい〜!」という感情で楽しんでいます。

グループ2

新鮮派(2002年以降生まれ)

現在10代後半~20代前半のこの層は、当時のカルチャーをリアルには知らないけれど、SNSなどで見かけて「なんかエモい」「逆にかわいい」と感じているタイプです。
ネオレトロとして再評価され、自分たちなりに取り入れて楽しんでいるのが特徴です。

どちらの層にとっても共通するのは、“素直にかわいいと思える空気感”。
今のシンプルで整ったトレンドとはちょっとちがう、“盛りすぎくらいがちょうどいい”自由なかわいさが支持されている理由かもしれません。

どんなものが「平成女児」的?

では実際、「平成女児っぽいもの」とはどんなアイテムを指しているんでしょうか?
代表的な例をあげてみると・・・


・サン宝石のキラキラ文具やほっぺちゃん
・セーラームーンやおジャ魔女どれみなどのアニメ作品
・たまごっち、プリクラ、ガラケーなどの平成っぽいガジェット
・メゾピアノやエンジェルブルーなど、ナルミヤ系のブランド服
・パステルカラー、リボン、星、ハート、ラメ…“かわいい”を重ねた装飾

どれも2000年代前半の「女の子らしさ全開」だったあの時代を思わせるアイコンたちです。

TikTokやInstagramでは「#平成女児」のタグとともに、これらのアイテムやその雰囲気を取り入れた投稿が多数アップされています。

「平成女子」「平成ギャル」との違いは?

ちなみに・・・

「平成女児」とよく似た言葉に「平成女子」もあります。
「平成女子」は、平成生まれの女性を広く指す言葉で、主にライフスタイルや価値観の傾向を表す際に使われ、どちらかといえば属性的なワードです。
一方の「平成女児」は、2000年代前半の“女児カルチャー”をルーツとしたカルチャー的な用語です。
ピンク、ラメ、リボン…そんなビジュアルの世界観だけでなく、「当時の“かわいい”を楽しむマインド」まで含めた感性のスタイル全体を指すワードです。

そしてもう一つ、耳にすることが多いのが「平成ギャル」。
これは、渋谷109やギャル雑誌、肌見せコーデや濃いメイクなど、1990年代後半から2000年代にかけて流行した派手で自己表現を重視した当時のギャル文化を指してつかわれます。
平成女児が「ふわふわ・きらきら・ゆるかわ」なら、
自己表現平成ギャルは「つよかわ・ギラギラ・自己主張」というイメージでしょうか。
どちらも時代を象徴する存在ですが、「かわいさ」の種類はまったく異なります。

なぜ今「平成女児」がZ世代に刺さるのか?

そもそも令和になり、平成カルチャー自体がレトロでかわいい「平成レトロ」として、実体験がない世代にも「平成」が注目を集めていました。平成をレトロでかわいいと感じる感性が広がっていた中で、“平成女児”が最初に話題になったのは、Z世代前半世代(実体験派)が「懐かしい!」と盛り上がったのがきっかけでした。
『LIPS』による調査では、「平成女児という言葉を知っている」と答えたZ世代が70%を超えており、このトレンドが一部の流行や、リアルな平成女児世代だけに共感されているわけでなくすでに広く浸透していることがわかります。(※LIPSユーザー(10~40代以上)対象のアンケート、集計期間:2025年2月21日(金)~2月28日(金) n=1,614)

参照元:【LIPS labo】「平成女児」カルチャーブームの到来。流行の背景に潜む”懐かしさ”、平成レトロにときめく心理とは?【2025年3月号】|LIPS labo

「平成女児」が今の時代にフィットした理由は何なのか?いくつか理由を探ってみました。

理由1.

“盛りすぎ”が、逆にかわいい

SNSにはミニマルでおしゃれな世界観があふれていますが、キラキラ、ラメ、リボン…「ちょっと盛りすぎ」なかわいさのほうが、今は逆に新鮮だったりします。
プリクラに昔あった「派手にデコる」機能がリバイバルして話題になったように、整いすぎていない感じや、かわいさが集合したような世界観、手作り感がある表現などがZ世代には「新鮮でかわいい」とうつることが背景にあります。

理由2.

“誰かのため”じゃなく、“自分の気分”で楽しめる

平成女児の空気感は、「誰かに見せるため」ではなく「自分が好きだから選ぶ」という感覚に近いものです。
SNSの“いいね”文化にちょっと疲れた今、「自分の気分がアガるものを選びたい」という空気にハマっているのかもしれません。

理由3.

懐かしいのに、新しい

平成女児は前半のZ世代にとってはリアルな記憶、後半のZ世代には未知のレトロな文化。
『知ってるけど忘れてた』、『 どこかで見たことがあるような、でもちゃんと体験したわけじゃない』——

そんな“懐かしいのに新しい”感覚が、じわじわと刺さっているのかもしれません。しかもそれが、昔のままではなく“今っぽくアレンジして楽しめる”ところもポイント。ネイルやファッション、雑貨やノベルティに平成っぽさを少し足すだけで、「なんかいいかも」と思える絶妙なバランスが、ちょっとした“かわいいのスパイス”として受け入れられています。

平成女児の世界観を取り入れた企業のプロモーション事例

Z世代の共感を集める「平成女児」カルチャーは、近年さまざまな企業のプロモーションにも取り入れられています。特にキャラクターやブランドとの“コラボキャンペーン”という形で展開され、SNSでの話題化や売り場の体験強化に活用されてきました。
ここでは、実際に注目を集めた事例をいくつか紹介します。

事例1

ニュートロ with ナルミヤキャラクターズ ~ウチらの平成がアプデしてカムバ!?~

株式会社ルミネと株式会社ナルミヤ・インターナショナルが2025年2月〜3月に実施した、ルミネエスト新宿でのキャンペーン。メゾピアノなど平成女児に人気だったブランドのキャラクターを使い、館内をフォトジェニックな“平成×今”の世界観で演出しました。
限定アイテムの販売やPOPUP展開も行われ、「平成女児」をテーマにした企画が話題性高く、行列ができるなど大きな集客につながりました。

事例2

サンリオ「平成女児チョコガチャ」

サンリオキャラクターズが「平成女児チョコ」風のミニマスコットになったガチャが登場しています。
アルミカップ入りの板チョコにチョコスプレーをふりかけた、まさに“平成の小学生っぽい”お菓子ビジュアルを、チョコ×キャラとして再現されました。2025年のバレンタイン時期に展開されSNSでも話題になりました。

事例3

「オシャレ魔女 ラブ and ベリー」×「スカルプDまつ毛美容液」

かつて平成女児の象徴的存在だったアーケードゲーム「オシャレ魔女 ラブ and ベリー」と、アンファーの人気商品「スカルプDまつ毛美容液」がコラボ。
ラブベリのビジュアルを活かした限定パッケージや、イラストカードなどのノベルティを展開し、“当時を知る層”にも“逆に新鮮”と感じる若年層にも刺さるプロモーションでした。

これらの事例に共通しているのは、単に平成女児っぽさを再現するだけでなく、「Z世代の感性」と重なる“今っぽさ”も踏まえて再解釈されている点です。
写真映え、シェアしたくなる仕掛け、グッズのノスタルジー感——すべてが体験として設計されており、“平成女児”というテーマを軸にしながらも、しっかり“今”とつながるプロモーションになっています。

どんなブランドに「平成女児」プロモはハマる?

一見、こうした事例はファッションやコスメなど一部の業種に限られたものに思えるかもしれませんが「平成女児」の世界観はもっと幅広く応用可能です。
例えば、以下のような条件に当てはまるなら、「平成女児」的プロモーションはうまくハマるかもしれません。

・10〜20代女性が主なターゲット
・“かわいさ”や“世界観”を売りにした商材を扱っている
・SNSで話題になりたい、UGC(ユーザー投稿)を促したい
・ライフスタイル雑貨、文具、キャラクター雑貨、スイーツなど感性重視の商品カテゴリー

また企画もコラボだけでなく単独で展開できるものも考えられます。

・平成女児的な配色や素材感を活かした売り場装飾やフォトスポット
・平成女児アイテムのノベルティ企画(ラメペンなど)
・平成女児風デザインにアレンジしたPOPやパッケージ演出
・「#平成女児チョコ」風の投稿キャンペーンなど

大切なのは、“かわいい”を素直に楽しむZ世代と感性でつながれるかどうか。
ブランドや商品の世界観と掛け合わせるkotogadekireば、コラボに頼らなくても“今のかわいい”として共感されるプロモーションが展開できます。

では次に、実際の販促や空間づくりに活かせる「平成女児」的な表現やエッセンスを見ていきましょう。

販促や空間づくりに活かせる「平成女児」的エッセンス

ここからは、プロモーションや空間演出に取り入れる際にヒントとなる、平成女児的なデザインやアイデアをご紹介します。

◆キーカラー:ピンク、イエロー、ブルー、パープルなど鮮やかなカラー

平成女児といえば、ピンクを中心に鮮やか&カラフルなカラ
ピンクを基調に、カラフルでキラキラ感のある色を組み合わせると、一気に“平成女児っぽさ”が出ます。売場全体をカラフルに彩ったり、ワンポイントで差し色で使用するだけでも世界観を演出できます。

◆モチーフ&素材感:リボン、ハート、星、クローバー、シャボン玉、レース、ラメなど

ビジュアル面での演出では、定番のモチーフを活かしましょう。
ハートやリボンのモチーフに加え、チュールやレースなど“ふわふわ感”のある素材、ラメやミラーなどのキラキラ加工もおすすめ。
ディスプレイや什器、パッケージに取り入れることで、写真映えと世界観の再現性がアップします。

◆演出アイデア:プリクラ風フォトスポット、レトロ文具風ノベルティ

Z世代の行動パターンを踏まえると、“思わず撮りたくなる”仕掛けは必須です。
たとえば…
・レトロなプリクラ風の撮影ブース
・平成っぽい背景のフォトパネル
・キラキラペンやプロフィール帳など“昔の文具風”ノベルティ
こうした演出があるだけで、イベントや売場の印象が変わり、SNS投稿率もアップ。
“共感”“拡散”の両輪が回りやすくなります。

◆世界観のトーン:かわいいは重ねていくスタイル

平成女児らしい世界観を表現するなら、「かわいすぎるくらい」がむしろ正解です。
このニュアンスをデザインに落とし込むと、Z世代にとっての“今っぽいかわいさ”になります。(※もちろん平成女児だけがZ世代のトレンドではないので、「かわいい」のひとつの例です)
ロゴに丸みのあるフォントを使ったり、キャラクター風のイラストを添えたりするだけでも、ぐっと雰囲気が出ます。
“盛ってよし、キラキラしてよし”——それが平成女児の魅力です。

まとめ:平成女児は“懐かしい”だけじゃない!

「平成女児」は、単なる懐かしさのブームではなく、Z世代の“かわいい”感覚と自然に重なり合うカルチャーとして再注目されています。
懐かしいのに新しい、ちょっと盛りすぎなくらいがちょうどいい——そんな自由な感性が、今の空気に心地よくフィットしています。
誰かの目を気にせず、自分の気分で選ぶかわいさ。
そんな感覚に共感するZ世代にとって、「平成女児」は気分を上げてくれる新しい選択肢のひとつになっています。
トレンドとしての広がりだけでなく、プロモーションや空間演出のアイデアとしても活用の幅は十分にあります。
“今っぽいかわいさ”を柔軟にとらえる視点が、Z世代との新しいつながりを生むきっかけになるのではないでしょうか。

Z世代に刺さるプロモーションはビーツにおまかせ!

Z世代の感性をとらえるプロモーションでは、見た目のインパクトや話題性だけではなく、どんな気持ちで受け取ってもらうかも大切です。
平成女児のように、感性やカルチャーが軸になるテーマでは、空気感まで丁寧につくり込むことが共感を呼ぶポイントになります。

ビーツではこれまで、ブランドの世界観を可視化しリアルな体験へとつなぐ販促・空間づくりを数多くサポートしてきました。ブランドの伝えたいことを、ターゲットに届くかたちで設計する——その支援が、私たちの得意分野です。
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