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いま知っておきたい「α世代」の特徴とヒント

団塊世代、団塊ジュニア、ミレニアル世代、Z世代 ─時代ごとに「世代」が注目され、その価値観や行動が社会やマーケティングに影響を与えてきました。

そんな中で、Z世代がもう30代に近づいていると聞くと、ちょっと驚きませんか?
気づけば徐々に、次の世代である「α(アルファ)世代」が話題にのぼるようになってきました。2010年から2024年の間に生まれたこの世代は、デジタルに囲まれて育ち、これまでとは少し違う感性や行動が見えはじめています。

α世代はまだ「子ども」という印象が強いかもしれませんが、数年後には社会や市場に新たな影響を与える存在になるはず。この記事では、「α世代って聞いたことはあるけど、まだよくわからない」という方に向けて、彼らの特徴をわかりやすく整理してみました。今のうちにその感覚を知っておくことで、これからのアイデアのヒントが見えてくるかもしれません。

目次

α世代とは?

α世代とは、2010年から2024年に生まれた、現在1歳から15歳の世代を指します。少子化が進む日本においては人口ボリュームが限られていますが、世界全体では2025年に約20億人に達し、世界人口の約4分の1を占めるといわれています。

※2025年以降に生まれる子どもたちは「β(ベータ)世代」と呼ばれます。

15歳というと、「まだ子ども」と思ってしまいがちですが、実は成人まであと数年。いまのZ世代と同じように注目される日も、そう遠くないかもしれません。α世代の多くはミレニアル世代の親に育てられ、その影響を色濃く受けながら、独自の感性を育んでいます。

α世代の特徴【3つのキーワード】

α世代はどんな感性を持っているのか、そのヒントになるキーワードを3つ紹介します。

keyword1

AIネイティブ

スマホやタブレットはもちろん、YouTube、TikTok、Minecraftといったプラットフォームを日常的に使いこなすα世代。スマートスピーカーで「アレクサ、今日の天気は?」と話しかけることも日常の一部です。大人が「教える」前に、遊びや好奇心からデジタルツールに自然と触れ、自ら使い方を習得しています。
学ぶというより「一緒にある」存在として、AIやデジタルと共に成長しているのがこの世代の大きな特徴です。

keyword2

高い自己肯定感

「自分は自分、人は人」。
α世代には、そんな自然体の自己肯定感が根づいているようです。
背景には、ミレニアル世代の親による「褒める育児」や、保育・教育現場での「多様性」「個性の尊重」があります。誰かと比べて優れている必要はなく、自分自身の存在をそのまま認められる空気感が、彼らのベースになっています。

keyword3

タイパ重視の効率思考

深掘りして調べるより、短時間で正解にたどり着くことを優先する。
そんな“タイパ”志向も、α世代らしさのひとつです。

TikTokのショート動画やYouTubeの倍速再生を使いこなし、「まず答えを知ってから楽しむ」というスタイルも当たり前。直感的なレコメンドにも違和感がなく、自分に合うものを効率よく選んでいます。

※Z世代に広がり近年定着している「倍速視聴」は小中学生にも広がっており、2024年のニフティキッズの調査によると小中学生の6割が「動画を倍速にして見たことがある」 と回答しています。

出典:https://kids.nifty.com/parent/research/ent_20240401/

このように、α世代はテクノロジーと共生し、自分らしさを軸に、合理的かつ軽やかな判断を下す新しい感性を持つ世代です。その特性を知っておくだけでも、これからの企画や施策を考えるうえでちょっとした気づきにつながってくるかもしれません。

α世代とZ世代の違い

一見よく似たデジタルネイティブの2つの世代。
でも、“自分らしさ”の捉え方に、ちょっとした違いがあるようです。

Z世代は、SNSでの見え方や共感を意識しながら「自分らしさ」を表現するのに対し、α世代はもっと自然体。「自分らしくいよう」と意識せずとも、そもそも比べる発想が薄く、自分が「好き」「心地よい」と感じるものを選び、「みんなと同じ」であることに安心感を持つ場面もあるようです。
この感覚の違いを理解しておくことで、ブランド設計やコミュニケーションのトーンにも活かせる視点が得られるかもしれません。

▼2つの世代を簡単に比較した表も参考にご覧ください。

α世代に響いているモノ・コト

α世代の感性を知るには、彼らが夢中になっているものを観察するのが一番。
ここでは、特徴的な3つのヒット事例を紹介します。

しなこちゃん&べビタピトーキョー

Z世代インフルエンサー・しなこちゃんがプロデュースする原宿の人気タピオカティー専門店「ベビタピトーキョー」。ピンクでいっぱいの世界観や、店舗での“写真映え”体験は、α世代の“推し活”や「かわいい」を楽しむ場として支持されています。2024年のGWには、150メートルの大行列ができ、4時間待ちという人気ぶりでα世代の消費を動かしています。

◆Vlog型トイカメラ #バズゅCam

セガが展開する「#バズゅCam」は、α世代の子どもたちが“インフルエンサーごっこ”を楽しめるVlogカメラ型トイ。SNSで見かけるような動画や写真を自分で撮影・編集できる仕様で、まさに“動画クリエイター体験”ができるのが特長です。撮影だけでなく、トイ内でカット編集やフィルター加工が可能なため、感性や表現力を育むツールとしても人気に。
2024年の「小学生が欲しいものランキング」で2位にランクインするなど、α世代のクリエイティブ心をくすぐるアイテムとして注目を集めています。

◆リアルとデジタルが融合した玩具(ぷにるんず/レゴシティ ミッション)

タカラトミーの「ぷにるんず」は、画面のキャラクターに直接“さわれる”感覚を楽しめる、新感覚の育成トイです。デジタル画面と指先の触感を組み合わせた体験が話題となり、発売以降大きなヒットに。
一方、「レゴ シティ ミッション」は、専用アプリのストーリーに沿ってミッションを進める中で、手元のブロックを使って課題を解決していくという、リアルとデジタルが連動した新しい遊び方を提案しています。
このように、デジタルとリアルを行き来しながら楽しむ“体験型トイ”は、α世代の興味を惹きつけるだけでなく、創造力や問題解決力を育むツールとしても注目されています。

α世代との“これから”を考えるヒント

α世代は、まだすぐに顧客になるわけではありません。
でも、彼らの感性には、これからのブランド体験を考えるヒントが詰まっています。

例えば、

●比較するより、信頼や直感で選ぶ
●「伝える」より「気づいてもらう」設計
●一方通行ではなく、参加できる関係性
   など

これまでの常識・定番から少しだけ視点をずらすことで、未来のアイデアがぐっと広がっていくかもしれません。

α世代とつくる、次のブランド体験

α世代が消費の中心に変わっていくこれからの体験設計で、意識したい5つの視点をご紹介します。

パーソナライズされた体験
「自分は自分」と自然に捉えるα世代にとって、誰でも同じ体験よりも「自分仕様」にカスタマイズできる仕組みのほうが魅力的。選べる、変えられる、育てられるといった個別化された体験がより響きます。

SNS・動画コンテンツの活用
TikTokやYouTubeで世界を知り、自ら発信もする彼らにとって、SNSや動画は日常そのもの。共感と広がりを前提にした設計が重要です。

ゲーミフィケーションやインタラクティブな仕掛け
クイズや称号、ランキングなどの要素で遊びながら夢中になれる構造が有効。気づけば深く関わっている体験に。

デジタルとリアルの融合体験
オンラインとオフラインの境目を意識していないα世代には、シームレスな設計が自然。リアルで感じたことが、デジタルで拡張される体験が求められます。

親世代(ミレニアル世代)へのアプローチも忘れずに
α世代が社会人になるまでは最終的な購買を担う親世代にも共感や納得が得られるよう、安心感あるメッセージ設計も大切です。

リテール領域の顧客体験を共創する、ビーツ

株式会社ビーツ(BEEATS)は、リテール領域を中心に、企業と生活者の間にある「リアルな体験」の価値を磨き上げるマーケティング会社です。
店舗空間や展示ブースのデザイン、プロモーションツールやデジタルサイネージの制作まで一貫して手がけ、ブランドの世界観を伝える体験を設計しています。

ビーツはこれまで、Z世代を中心とした若年層に向けたブランド体験プロモーションを数多く手がけてきました。
今後は、α世代の感性や価値観にも目を向けながら、より多様な世代との接点づくりに取り組んでいきたいと考えています。

ビーツの事例はこちら

若年層のトレンドを知る手がかりに

「リテールボイス」では、Z世代の感性や行動に焦点をあてたトレンド記事も発信しています。α世代とあわせて、今の若年層を知る手がかりとして、ぜひご覧ください。

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