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体験型ポップアップとは?事例から体験設計のヒントを解説

最近、「体験型ポップアップ」という言葉をよく見かけるようになりました。
あちらのブランドも、こちらの企業も「体験型」を冠してポップアップを打ち出しています。

でも、「体験型ポップアップが増えています」と言われると、どこか少しモヤっとする感覚もあります。
ポップアップに体験要素があるのは、いまに始まったことではなく、試飲や試食、商品のお試し、フォトスポット、ワークショップなどの体験企画はこれまでもポップアップの定番でした。
それでも今、あえて「体験型」と呼ばれるのはなぜなのでしょうか。
本記事では、「体験型ポップアップ」とは何か、その定義や背景、具体的な事例、設計のポイントまで整理していきます。

目次

▼ビーツが支援した髪にドラマを様の体験型ポップアップの事例について詳しくはこちら

体験型ポップアップとは?~体験の「扱い方」が変わっている

体験型ポップアップとは、ブランドの世界観や価値を「体験として届けること」を主軸に設計された、期間限定のイベントを指す言葉として広がっています。

本記事では、ポップアップストア/ポップアップイベントの両方を含む意味で扱います。
ポップアップストア/ポップアップイベントの違いについては別の記事で整理していますので、詳細はそちらをご覧ください。

ポップアップはもともと、期間限定で商品を紹介・販売する場でした。新商品を知ってもらう、実物に触れてもらうなど、そうした役割は今も変わっていません。ただ最近は、企画設計の視点が少し変わり「体験型」と銘打ったポップアップが増加しています。

ポップアップストアの基本については、こちらの記事でも解説しています。
▼ポップアップストアとは?基本から解説!「ポップアップストア出店のメリットとSNSとの関係性」

ポップアップストア出店のメリットとSNSとの関係性

なぜいま、「体験型ポップアップ」が増えているのか

ポップアップという形式は、この数年で一気に身近な存在になりました。

特に2023年以降、リアル(オフライン)施策としてのポップアップは特別なプロモーションではなくなり、「まずはポップアップで展開してみる」という選択肢も一般化してきています。

一方で、オンライン環境も大きく進化しました。

購入者のレビューや比較記事、SNS投稿や動画コンテンツなどを通じて、商品理解の多くはスマートフォンの中で完結します。サイズ感や使用感、機能性についても、事前にかなりの情報を得られる時代になりました。

その結果、リアルな場に求められるものは「商品理解」だけではなく、その場でしか得られない体験価値へと広がってきました。

その場でしか感じられない空気や、ブランドの世界観の中に自分が入り込んで過ごす時間そのものに価値を感じる時代。ポップアップにおいても、「売るための場」という役割に加えて、「体験する場」としての設計がより強く意識されるようになってきました。
では、その「体験」は、これまでと何が違うのでしょうか。

「商品をどう見せるか」という発想だけではなく、「来場者がその場でどんな時間を過ごすのか」までを含めて設計する。空間に入ってから出るまで、どんな順番で体験し、どんな気持ちで帰るのか。その「流れ」そのものが、企画の中心に置かれるケースが増えています。

「確認」から「世界観の体験」へ

これまで、リアルな場での体験は「購入を後押しするための確認行動」であることが多くありました。

・サイズを確かめる
・試飲や試食をする
・使用感を試してみる

どれも商品を理解するための大切なプロセスで、この構造自体は今も変わっていません。
ポップアップの最終的な目的は、あくまで購入やブランド選択の後押しです。
ただ、その「後押しの仕方」が少し変わってきました。

スペックや機能を理解してもらうことよりも、ブランドの世界観を体験することを通して気持ちを動かす。

ブランドの世界観を体験することで「好き」を増やし、ファンになってもらい、それが結果として購入につながる…そんな設計が増えています。

■以前:確認を重ねて購入へ
■現在:体験を通じて共感し、購入へ

ゴールは同じでもアプローチが変わると空間のつくり方も変わってきます。
体験型という言葉が前に出てきた背景には、この「設計の違い」がありそうです。

最近の体験型ポップアップを、少し整理してみる

「体験型」とひとことで言っても、その中身はさまざまです。
空間の世界観に没入させるタイプもあれば、動線そのものがストーリーになっているものもある。来場者が参加してはじめて成立する企画もあります。ざっくりと整理してみると、大きく3つのタイプに分けられそうです。

タイプ1

世界観没入型(空間主導)

まずは、空間のつくり込みそのものに力を入れるタイプ。
単に商品を並べるのではなく、色、質感、音、香りまで含めて空間全体でブランドの世界観を作り込みます。来場者は商品を見に来るというより、「その世界の中に入りに来る」感覚に近いかもしれません。

■例:シューズブランド「スブ(SUBU)」10周年を祝うポップアップ「YO〜KAIの館」(2026年1月・表参道)

「履いたら二度と戻れない…」をコンセプトに、プロジェクションマッピングや映像、グラフィックを用いて異界のような空間を演出。会場全体が物語の舞台のように設計され、ブランドの世界観に浸る時間そのものが体験になります。商品販売はもちろん行われましたが、中心にあるのは「空間で過ごす時間」。
世界観没入型は、空間そのものが主役になる体験型ポップアップです。

タイプ2

ストーリー回遊型(動線主導)

次に、入口から出口までの「流れ」を設計するタイプ。
体験が点で置かれるのではなく、順番や動線が組み立てられていて、会場を回遊するうちに理解が深まる構成になっています。

■例:ビオレZero「今年最後の!?夏祭り」ポップアップ(2025年・@cosme NAGOYA)

長引く残暑をテーマに、「夏祭り」をコンセプトに展開。
縁日風の体験コーナーで商品を試し、くじ引きへ進み、さらに購入者特典へとつながる設計。
「残暑を楽しく乗り切る」という文脈の中で、体験が段階的に積み重なっていく構成が特徴です。
ストーリー回遊型は、“何を体験させるか”だけでなく、“どの順番で体験させるか”までを設計するタイプと言えそうです。

タイプ3

参加・関与型(アクション主導)

最後が、来場者の行動そのものが体験の中心になるタイプ。
ブランドが決まった体験を提供するというより、来場者の選択やアクションによって体験が完成します。

■例:Dole「Dole Smoothie Bowl Factory ‐The Scramble-」(2025年10月・渋谷)

約100種類のトッピングから自由に選び、自分で盛り付けて完成させるスムージーボウル体験を展開。
ブランドは世界観と選択肢を用意し、完成形は来場者に委ねられています。
決まった商品の試食とは異なり、「自分で選び、自分でつくった」という感覚が残るのが特徴。
参加・関与型は、来場者が体験の一部を担う設計と言えるかもしれません。

もちろん、実際の「体験型ポップアップ」はもっと複雑

もちろん、実際のポップアップがこの3つのどれかにきれいに当てはまるわけではありません。
世界観を作り込みながら動線でストーリーを描くものもあれば、没入型でありつつ参加型の仕掛けを取り入れているケースもあります。
今回の3分類は、体験型ポップアップを少し整理して捉えるためのひとつの見方です。
実際の企画ではこれらの要素をどう組み合わせるかも設計のポイントになっていきます。

体験型ポップアップ設計で押さえておきたいポイント

体験型ポップアップを考えるときに大切なのは、体験を増やすことではありません。その体験が、ブランドや商品ときちんとつながっているかどうかです。

たとえば、フォトスポットやワークショップが盛り上がっても、それが商品やブランドの文脈と結びついていなければ「楽しかったイベント」で終わってしまいます。また体験が個別に存在しているだけでは、会場全体としてのストーリーが見えにくくなります。

そこで確認したいのが、次のようなポイントです。

このチェック項目は、体験をポップアップの「付け足し要素」にしないためのものです。

●空間全体でブランドの世界観を表現できているか
●来場者が“その世界に入った感覚”を持てるか
●体験が点ではなく流れとして設計されているか
●空間・体験・商品が同じコンセプトでつながっているか

体験型ポップアップは体験をどれだけ盛り込むかではなく、空間全体がひとつの体験として設計されているかがポイントになります。

【事例紹介】体験型ポップアップイベント『つるりんちょ。「HOME」』

こうした視点を踏まえた体験設計の事例として、ひとつビーツがサポートした事例をご紹介します。2025年12月に設計・施工を担当した、株式会社髪にドラマを様の体験型ポップアップです。

本ポップアップでは、「商品を使うことで日常がどう変わるか」を体験として伝える構成で空間を設計しました。

●日常シーン別の体験構成(バスタイム、ドライ、朝のスタイリングなどシーンごとの部屋をめぐる構成)
●来場者の体験を混雑させない一方通行の回遊動線設計
●「おうちケア」をテーマにした空間デザイン

診断やワークショップを回遊の中に整理して配置することで、限られた滞在時間の中でも「商品のある日常」と「商品の魅力」を体験できる空間を実現しました。

▼さまざまなポップアップをサポートするビーツの事例は以下からぜひご覧ください。

ビーツのポップアップ事例を見る

まとめ:体験型ポップアップで、どんな記憶を残したいか

「体験型ポップアップ」という言葉が広がっているのは、ポップアップという場の意味が少しずつ変わってきたからかもしれません。

商品を並べる場所から、ブランドと出会う時間をつくる場所へ。
何を見せるかではなく、どんな時間を過ごしてもらうか。
その発想の違いが、空間や動線、体験の設計にあらわれます。


体験型ポップアップを考えるときに大切なのは、
「何をするか」よりも、「どんな記憶を残したいか」。
そこから逆算して設計していくことが、これからのポップアップ企画のヒントになっていくのではないでしょうか。

ポップアップストアは「何を体験として届けるか」という設計だけでなく、出店準備や運営設計も重要な要素になります。初めてポップアップストアに出店する際の進め方については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

▼初めてのポップアップストア出店成功マニュアル【成功ヒント10選】

体験型ポップアップもビーツにおまかせ

株式会社ビーツ(BEEATS)は、ポップアップストアの企画から空間デザイン、施工までを一貫して支援しています。
ブランドの世界観を空間として表現するだけでなく、回遊動線や体験設計、現場オペレーションまで含めた企画づくりを大切にしています。ポップアップストアの企画をご検討中の方は、ビーツのサービス内容もご覧ください。

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