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「平成レトロ」がZ世代にウケるワケ|”エモかわ”体験を企画に活かすヒント

Z世代の間で、数年前から「平成レトロ」が盛り上がっています。
プリクラ、ガラケー、ルーズソックス、キラキラ小物……。Z世代にとって平成のカルチャーは、リアルタイムでは知らないのに、なぜか心をくすぐる存在です。そんな“知らないのに懐かしい”感覚が、SNSを通じて新しい体験価値として広がっています。
リテールボイスではこれまでも、平成初期の少女文化がブームとなった「平成女児」や、2000年代ファッションを再評価する「Y2K」など、Z世代の感性に寄り添うトレンドを取り上げてきました。今回の「平成レトロ」も、その延長線上にある注目テーマのひとつです。
本記事では、このトレンドがなぜZ世代の心をつかむのかをひもときながら、ブランド体験や販促企画への活用ヒントを探っていきます。

目次

▼「平成女児」に関する記事はこちら!

平成レトロとは?

SNSや音楽、ファッションのシーンで「平成レトロ」という言葉を目にする機会が増えています。
プリクラ、ガラケー、ルーズソックス、ギャル文字、ラメ小物、ガチャガチャなど1990年代から2000年代前半のティーンズカルチャーやストリートファッションを思わせる要素が、Z世代を中心に再注目されています。

「レトロ=懐かしさ」という印象にとどまらず、平成レトロには独特のポップさテンションの高さ、そしてクセのあるかわいさが存在します。
今の感性と重なることで、「逆に新しい」「ちょっと変でかわいい」と捉えられ、トレンドとして定着しています。

こうした「平成レトロ」のように、過去のカルチャーを今の感性で楽しむ動きは他にもあります。代表的なのが、韓国発の「ニュートロ(new-tro)」です。

ニュートロとの違い

ニュートロは「new(新しい)」と「retro(懐かしい)」を組み合わせた造語。1970〜90年代のカルチャーやデザインを、今のスタイルでリメイクして楽しむ潮流です。
ブラウン管テレビ、昔ながらの喫茶店、ネオンサイン、レトロフォントなど、“懐かしいけど古すぎない”バランスで、韓国を起点に2018年ごろから若者の間で人気に火がつき、日本でも近年よく見かけるようになりました。K-POPグループのNewJeansも、90〜2000年代の映像演出やファッションを取り入れた“ニュートロ”の代表例として注目されてきました。

一方、平成レトロは、「リメイクする」というよりも、“あの頃の雰囲気をそのまま再現したように見せ、その派手さやチープさを楽しむ”感覚に近いです。ギャル文字、チェーンメール、デコ文字やプリクラなど、ちょっとダサくてチープ、でも派手で楽しい要素を、Z世代はむしろ“かわいい”“ユニーク”として捉えています。
ニュートロが「丁寧に洗練された懐かしさ」なら、平成レトロは「ちょっと派手でクセのある平成のテンションを、今の感性で楽しむカルチャー」。どちらも支持されていますが、同じ“レトロ”でも、その楽しみ方には違いがあります。

“懐かしさ”ではなく“新しさ”平成レトロがZ世代に響く理由

Z世代にとって、平成レトロは“懐かしさ”ではなく、“新しさ”として受け止められています。
リアルタイムで経験していないからこそ、「見たことないのに面白い」「やってみたい」という“新しい遊び”として楽しまれています。
当時の文化やアイテムは、彼らの目にはノスタルジーではなく“今っぽくてかわいい体験”として映り、自由に楽しめるカルチャーとして再解釈されています。

こうした感覚は、SNSでの自己表現とも相性がよく、「ちょっと非日常で楽しい」体験はUGC(ユーザー投稿)にもつながりやすくなります。
体験と共有がセットになっていることが、プロモーション設計の中でも活用しやすい特徴になっています。

“レトロポップ”なビジュアルが今っぽい理由

平成レトロの世界観には欠かせないのが、エモくて派手な“レトロポップ”なデザインです。
ビビッドな配色、グリッター、デコ文字、ラメ背景など一見ちぐはぐで過剰な要素が、今のZ世代には「逆にかわいい」と映ります。
ここ数年、シンプルでミニマルな表現が続いた反動もあり、“ノイズのあるデザイン”や“ちょっとダサい美学”に注目が集まっているのも背景のひとつ。
このレトロポップなビジュアルは、見る人には親しみやすく、発信する側にとっても真似しやすい。だからこそ、SNSで「真似してみたくなる」「撮りたくなる」体験を生み出しやすく、プロモーションとの相性も抜群です。

今、“平成レトロ”を仕掛ける企業の事例

Z世代に「新しくてかわいい」と受け入れられている平成レトロは、企業のプロモーションにも活用が広がっています。ここでは実際の事例を3つ紹介します。

事例1

マクドナルド「平成バーガー」復活キャンペーン

2023年に平成初期に流行したハンバーガーを期間限定で復刻。池田エライザさんを起用したCMでは平成の流行語やファッションをオマージュした世界観が話題を集めました。2024年にも続編が展開され、“平成らしさ”を今の世代に届けるプロモーションとして注目されました。

事例2

ショートドラマ「平成みたいだ」

2025年8月、WOWOWとstudio15がタッグを組み、TikTokで公開された縦型ショートドラマ『平成みたいだ』。
昭和〜平成の音楽や会話、映像表現を“今の感性”で再構築し、「懐かしいのに新しい」とZ世代の共感を集めました。
SNSでも拡散され、「平成レトロ」を感覚的に楽しむ流れを後押ししています。

事例3

西武渋谷店「NEO平成レトロ展」

2025年7月〜8月に開催された、TBSと西武渋谷店による展示イベント。ガラケーやプロフィール帳、ギャルファッションなど約300点のアイテムを展示。9つの体験エリアを通じて、平成カルチャーを“知らない世代”にもリアルに体感させる設計が話題を呼びました。

いずれの事例にも共通しているのは、一見「あの頃の平成」そのままに見えても、実は今の世代に合うように編集されている点です。Z世代が自分の感性で受け取り、シェアしたくなる仕掛けが組み込まれています。

Topics|平成音楽もZ世代に“刺さる”

音楽の分野でも、平成のカルチャーがZ世代から改めて注目されています。
たとえば、2000年代に人気だったORANGE RANGEの『おしゃれ番長 feat.ソイソース』は、TikTokでのバズをきっかけに3億回再生を突破。リズム感やテンションが今の空気感と重なり、Z世代にも広く受け入れられています。
さらに、2025年7月に公開された『イケナイ太陽(令和ver.)』のMVは、1ヵ月で1300万再生を記録。昔のテレビ画質風の映像や、当時の演出をちりばめた世界観が「逆に新しい」と話題になりました。
こうした楽曲や映像の楽しみ方は、曲そのものだけでなく、“当時の文脈や雰囲気を丸ごと味わう”というスタイル。Z世代の感性とフィットしやすく、SNSでの共感や拡散にもつながっています。

平成レトロをプロモーションに取り入れるヒント

Z世代が魅力を感じているのは、「平成っぽさ」が持つ独特の空気感やテンション。
見た目は“そのまま”でも、実際には現代の感性に合わせた演出や工夫がされています。


“懐かしいのに今っぽい”バランスにするためには、あえて令和フィルターを通した編集や仕掛けが必要。企業がプロモーションやブランド体験に平成レトロを取り入れる際には、次の3つのポイントを意識すると効果的です。

1.「平成そのまま」ではなく、“令和フィルター”で再構築する
プリクラやガラケー、ギャルファッションなど、平成のモチーフはそのままでは古く見えることもあります。
Z世代に届いているのは、あくまでそれを“今のテンション”で味つけし直したスタイル。ビジュアルや言葉づかい、SNS映えする世界観への落とし込みが重要です。

2. “やりたくなる・撮りたくなる”体験に落とし込む
平成らしさを“体験できる形”にすることが、参加意欲やUGCにつながります。
たとえば、ラメ素材のPOPや、チェキ風プリクラブース、プロフィール帳風の投稿キャンペーンなど、思わずシェアしたくなる仕掛けがポイントです。

3.「ギャップ」を活かす
あえて“今の時代にそぐわない”要素を入れることで、ユニークさやおもしろさが際立ちます。
古い映像演出、読みづらいギャル文字、ポエムっぽいコピーなど。“ちょっとダサい”くらいが、Z世代の感性にはハマりやすい傾向があります。

Z世代に刺さるプロモーションはビーツにおまかせ

ビーツのプロモーション事例を見てみる

“平成レトロ”をはじめ、Z世代の感性にフィットする体験設計や空間づくりは、プロモーションの成否を左右する大きなカギです。
とはいえ、トレンドをただなぞるだけでは、共感やUGCにはつながりません。大切なのは、「今の若者がどう捉えるか」「どんなふうに楽しみたくなるか」を丁寧にひもとき、“やってみたい”という気持ちを引き出す仕掛けをつくること。

ビーツは、そうしたZ世代の感性に寄り添ったプロモーション設計を得意としています。
店頭での体験演出やポップアップイベント、空間デザイン、ノベルティ・動画制作まで、ブランドの世界観と目的に合わせたトータルなご提案が可能です。
たとえば、Z世代の“平成レトロ熱”を捉えた店舗演出や、SNSで話題になりやすい撮影スポットの設計など、感性と行動をつなぐ体験づくりもおまかせください。

「Z世代に向けて、どんな体験を届ければいいかわからない」
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そんなお悩みがあれば、お気軽にビーツにご相談ください。
生活者のリアルな“好き”と“楽しい”を引き出すプロモーションで、共感を生むブランド体験づくりをサポートします!

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